リースバックの仕組みと判断基準|札幌で自宅に住み続けながら資金化する前に確認すること

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※2026年9月5日時点の公開情報をもとにしています。契約は必ず契約書と重要事項説明で確認してください。

「自宅を売っても、そのまま住み続けられる」と説明されるリースバックですが、国民生活センターには家賃値上げや再契約拒否の相談が寄せられています。国土交通省のガイドブックと国民生活センターの公表資料を軸に、仕組み・契約形態・買戻しと家賃・札幌での確認点を宅建士 Akira.N が整理します。

結論:リースバックが向く人・向かない人

国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」(2022年6月)は、リースバックを「住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むというサービス」と定義し、通常の売却や融資(リバースモーゲージを含む)と比較して選ぶよう求めています。同ガイドブックの利用例から読み取れる「向く人」は次のような方です。

  • 高齢者施設への入居待ちや建て替えなど、住み続ける期間の見通しが立っている
  • まとまった資金が必要で、しかも自宅の管理・処分を同時に済ませたい
  • 売却代金から家賃を払い続けても手元資金が残る計算ができている

反対に、国民生活センター(2026年8月4日公表)は「借金返済や生活費などを工面するためにリースバック契約をしてしまうと、その後家賃を支払い続けることが困難になるおそれがあります」と注意を促しています。生活費不足を理由に検討している場合は、リースバック以外の選択肢を先に確認する必要があります。

仕組み・契約の2形態・買戻しと家賃

リースバックは「不動産売買契約」と「賃貸借契約」を同時に結ぶ取引です。所有権はリースバック事業者に移り、利用者は借主として家賃を払います。ガイドブックは、所有者でなくなる以上、設備の設置に事業者の承諾が必要になるなど「これまでと同じ使い方ができるとは限らない」と説明しています。

賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約があり、住み続けられる期間に直結します。

項目普通借家契約定期借家契約
契約期間の満了時借主が希望すれば原則更新される(貸主が拒むには正当事由が必要)期間満了で終了。貸主と借主双方が合意した場合のみ再契約
貸主が再契約を拒んだ場合正当事由がなければ拒めない退去が必要
貸主が第三者に売却した場合新しい貸主に契約が引き継がれる新しい貸主から再契約を拒まれる可能性がある
確認のポイント更新条件、賃料改定条項契約期間、再契約の条件、中途解約条項

ガイドブックは「事業者が将来定期借家契約終了後は再契約の予定があるとの意向を表明しているに過ぎない場合」、再契約前に住宅が第三者に売却され、新たな貸主から再契約を拒絶される可能性があると明記しています。口頭の「ずっと住める」ではなく、契約書の種類と期間を確認してください。

買戻し条件と家賃設定の考え方

買戻しについてガイドブックは「当然の権利ではありません」とし、「いつまでに」「いくらで」買い戻せるかを契約書で確認するよう求めています。国民生活センターの相談事例(2025年8月受付)には、200万円で売却した自宅マンションを買い戻したいと申し出たところ購入額として1000万円を提示されたというケースがあります。買戻し価格や期限が契約書に書かれていない場合、その約束は当てにできません。

家賃については、ガイドブックが「売却で受け取る金額」と「数年かけて賃料として支払う金額」のどちらが高いかを自分で計算するよう促しています。ガイドブックのCASE 2では、約2000万円で売却し家賃約20万円だったため、10年居住すると賃料合計が売却代金を上回る計算になりました。国民生活センターの事例(2024年8月受付)には、約6万円だった家賃が3年後に約11万円へ上がり、払えなくなったものもあります。賃料改定の条項があるか、何年後にいくら上がる可能性があるかを契約前に確認してください。

通常の売却・リースバック・リバースモーゲージの違いは次の通りです。

項目通常の売却リースバックリバースモーゲージ
所有権買主へ移る事業者へ移る本人のまま(担保設定)
受け取る資金売却代金(一括)売却代金(一括)融資(一括または分割)
住み続ける方法引渡し時期を調整して一定期間居住可能賃貸借契約を結び家賃を払う自宅に住みながら借入
毎月の負担なし家賃利息(商品による)
固定資産税買主負担契約条件により事業者負担本人負担
返済・精算なしなし(買戻しは条件次第)死亡時等に自宅を処分して一括返済

ガイドブックは、通常の売却でも引渡し時期を調整すれば一定期間住み続けられると指摘しています。リースバック以外で目的が達成できないか先に検討してください。

トラブル事例と国交省ガイドブックの確認ポイント

国民生活センターの2025年5月21日公表資料によると、住宅のリースバックに関する相談件数(PIO-NET)は2019年度24件から2024年度234件へ増え、2024年度の契約当事者の約7割が70歳以上でした(確認日2026年9月5日)。公表された事例には次のものがあります。

  • 朝10時から夜10時過ぎまで勧誘され契約、解約を申し出ると手付金返還に加え違約金を求められた(2024年5月受付)
  • 「ずっと住める」と説明された後、家賃値上げに応じないなら退去するよう迫られた(2025年8月受付)
  • リフォーム工事代金が払えないならリースバックで、と別業者を案内された(2026年2月受付)

国民生活センターは、消費者が不動産業者に自宅を売却する場合は宅地建物取引業法のクーリング・オフが適用されず、契約成立後は「手付倍返し」や違約金が必要になると説明しています。ガイドブックの7つのポイントを要約すると、契約前に確認すべき項目は次の通りです。

  1. 契約を急かす営業トークを鵜呑みにせず、家族に相談してから決めると伝える
  2. 住み続ける期間にわたって毎月家賃を払えるか計算する
  3. 提示された売却価格について複数の事業者に意見を聞く
  4. 買戻しは当然の権利ではない。期限と価格を契約書で確認する
  5. 普通借家か定期借家か、更新・再契約の条件を契約書で確認する
  6. 設備が壊れたら誰が直すのか、退去時の原状回復や相続時の責任を確認する
  7. 不動産業者・金融機関など複数の事業者に相談し、自分に合う手法を選ぶ

札幌で検討するときの論点

札幌市の集計では、令和5年住宅・土地統計調査の空き家率は13.8%(155,800戸)で平成30年より1.9ポイント上昇し、持ち家住宅率は49.4%でした(札幌市「令和5年住宅・土地統計調査結果の概要」令和6年10月、確認日2026年9月5日)。また、令和2年国勢調査による札幌市の高齢化率は27.8%です(札幌市「統計からみた札幌市の高齢者」令和5年9月、確認日同日)。施設入居までの資金確保や実家の処分の場面で、リースバックが選択肢に挙がる土地柄です。

札幌固有の確認事項として、次の3点は契約書で誰の負担かを明確にしておく必要があります。

  • 雪:屋根の雪下ろし、敷地内の除雪・排雪費用。ガイドブックが挙げる「設備が壊れたら誰が直すのか」と同じく、修繕・維持管理の分担条項で確認します
  • 暖房費:灯油・ガス・電気は借主が払う光熱費です。売却代金から家賃を払う試算をするとき、冬季の光熱費も含めて手元資金を計算してください
  • 固定資産税:ガイドブックは「契約条件によっては、これらの支払いは不要」と説明しています。家賃に反映されている前提なので、家賃水準と合わせて確認します

雪や暖房の負担に関する統計は見当たらないため金額は示していません。実際の負担は契約書の記載が全てです。

相談先の選び方

ガイドブックは「不動産業者や金融機関等複数の事業者に相談し、自分が納得できる条件・手法を選びましょう」と求めています。1社の提示額だけで判断せず、売却価格・家賃・契約形態・買戻し条件を横並びで比べることが、相場から外れた条件を避ける現実的な方法です。比較の窓口には、複数の事業者を紹介するマッチング型の相談サービス、地元の宅建業者、金融機関があります。不安があれば、消費者ホットライン「188」から地域の消費生活センターに相談できます。

街角リースバック相談所とは

街角リースバック相談所は、トラベルブック株式会社が運営する「街角相談所」シリーズのリースバック向け窓口です。街角相談所の公式サイトは、同シリーズを「暮らしのトラブルを解決するためあなたにピッタリの業者を紹介できるサービス」と位置づけており、自社で物件を買い取るのではなく、相談内容に応じてリースバック事業者を紹介する形です(確認日2026年9月5日)。複数の事業者の提示を比べたい場面で候補になります。提携社数・相談料・対応エリア・査定から現金化までの日数は、公式サイトの最新の記載で確認してください。本記事では確認できた範囲の情報のみ記載しています。なお、このサービスの提供主体は運営会社であり、当サイトではありません。利用の可否や紹介先の条件は、必ず契約書と重要事項説明で確認してください。

リースバックは「売却価格」と「その後の家賃」がセットで決まる取引です。1社の提示だけで決めると、家賃が相場より高い、買戻し条件が書面にない、といった見落としが起きやすくなります。複数社の査定を並べて、普通借家か定期借家か・家賃・買戻しの可否と価格の3点を書面で比べてから判断してください。

リースバックの査定を無料で相談する
  • 相談・査定は無料と案内されています
  • 査定を受けただけで売却する義務はありません
  • 賃貸借の種類(普通借家/定期借家)と家賃を必ず書面で確認してください

提携先:街角リースバック相談所(PR)

よくある質問

リースバックの契約はクーリング・オフできますか

国民生活センターは、消費者が不動産業者に自宅を売却する場合には宅地建物取引業法のクーリング・オフが適用されないと説明しています。契約成立後に売主から解除するには手付倍返しや違約金が必要になるため、署名・押印の前に家族と相談する時間を確保してください。

家賃は途中で上がりますか

契約書に賃料改定の条項があれば上がる可能性があります。国民生活センターの事例には3年後に家賃が約6万円から約11万円になったものがあります。改定条項の有無と時期・幅を契約前に確認してください。

亡くなった後、家族に負担は残りますか

ガイドブックは、リースバック期間中に亡くなった場合に家族・親族が賃貸借契約上の責任(原状回復等)を相続によって負う場合があると注意しています。原状回復の範囲と費用分担を契約書で確認し、家族にも内容を共有してください。

まとめ

リースバックは「売却」と「賃貸借」の2つの契約でできています。住み続けられるかどうかは契約の種類(普通借家か定期借家か)と再契約条件で決まり、買戻しは契約書に書かれた条件の範囲でしか実現しません。国交省ガイドブックの7つのポイントと国民生活センターの事例を手元に置き、売却価格・家賃・契約形態を複数の事業者で比べたうえで、契約書と重要事項説明を確認してから判断してください。

出典:国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」(2022年6月)/国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」(2025年5月21日)、「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」(2026年8月4日)/札幌市「令和5年住宅・土地統計調査結果の概要」(令和6年10月)、「統計からみた札幌市の高齢者」(令和5年9月)/街角相談所公式サイト(いずれも確認日2026年9月5日)

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