【2026年9月第4週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|JR苗穂工場跡に官民9千億円構想、札幌駅北口でオフィス着工

【2026年9月第4週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|JR苗穂工場跡に官民9千億円構想、札幌駅北口でオフィス着工中古住宅×リノベ

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札幌の街は、毎週どこかで店が開き、どこかで店が閉まっています。一件一件は小さな出来事ですが、住所と日付で並べ替えると、どの街区に空き床が出たのか、どの業態がどんな設備条件の区画を選んでいるのか、そして次に何が建つのかという輪郭が見えてきます。この連載は、単なる開店・閉店リストでは終わらせず、その裏側にある不動産の動きまで踏み込んで読むことを目的にしています。

私は空間デザインの現場と宅建士の実務、その両方に軸足を置いています。店舗の排煙・給排水・床荷重といった設備条件からテナントの行動を読む視点と、土地・建物の権利移転から街の再編を読む視点は、本来ひとつながりのものです。「なぜこの業態がこの階に入ったのか」「なぜあの店が今のタイミングで閉まるのか」は、多くの場合、建物側の事情で説明がつきます。

今週は、大きな構想がひとつ表に出ました。北海道新聞が9月24日に報じた、JR北海道苗穂工場跡地(東区、約20ヘクタール)をめぐる札幌市の計画原案です。2036年までに約9千億円の官民投資を見込むという規模で、札幌駅北口では西松建設と東急不動産のオフィスビルが9月1日に着工、すすきのではホテル計画が動き、サッポロファクトリー前では大京の分譲マンションが着工を迎えます。あわせて、北海道庁が公表した2026年8月末時点の道内建設業倒産統計と、9月に公表された建設・住宅設備関連の実名案件を、出典を示しながら整理します。

今週の3行まとめ

  • JR苗穂工場跡地(約20ヘクタール)の札幌市計画原案が判明。脱炭素エネルギー循環と災害・雪に強いオフィス区域を軸に、2036年までに約9千億円の官民投資を見込む(北海道新聞9月24日報道)。
  • 札幌駅北口・北7条西1丁目で西松建設と東急不動産のオフィスビル(地上10階、延べ約3847坪)が9月1日に着工、2028年春竣工予定。すすきの南7条西4丁目ではホテル(地上10階)が12月着工予定。
  • 道内建設業の倒産は2026年1〜8月で33件・負債42億6400万円と、前年同期比で件数7件増・負債22億400万円増。9月には解体工事会社と電気工事会社(太陽光・オール電化)の破綻が公表された。

新店オープン情報(2026年9月17日〜9月29日)

札幌速報が毎日更新している開店・閉店一覧と、リアルエコノミーの報道をもとに、直近の開店・再開・移転開店・リニューアルをまとめました。所在地はGoogleマップにリンクしています。前号と一部重なる日付がありますが、今号は9月17日以降を対象にしています。

日付区分・業種店名所在地
9月17日移転開店/ホームセンターDCM 太平店北区太平6条3丁目2-1
9月17日開店/カフェ喫茶ブルーバード中央区北2条東4丁目 サッポロファクトリー3条館2階
9月17日開店/100円ショップCan★Do DCM太平店北区太平6条3丁目2-1 DCM太平店内
9月18日開店/作業着・仕事用品プロノ 西岡店豊平区西岡3条5丁目5-6
9月18日再開/スーパービッグハウス ウエスト西区発寒7条9丁目4-33
9月18日開店/居酒屋個室居酒屋弐合中央区北2条東1丁目4-9
9月18日移転開店/バッグMaison de FLEUR 札幌地下街ポールタウン店中央区南2条西4丁目 さっぽろ地下街ポールタウン内
9月18日開店/買取・質屋おたからや イオン札幌藻岩店南区川沿2条2丁目1-1 イオン札幌藻岩店1階
9月18日開店/ライブハウスSYNC north中央区南2条西5丁目6-1 札幌プラザ2・5ビル 地下1階・2階・3階
9月18日開店/腕時計ガーミンストア 札幌北広島北広島市大曲幸町3丁目7-6 三井アウトレットパーク札幌北広島 クローバー・モール1階
9月18日開店/ケーキろまん亭 イオン東札幌店白石区東札幌3条2丁目1 イオン東札幌店1階
9月18日開店/ダーツダーツ&パーティー REGALO 札幌すすきの駅前店中央区南4条西5丁目5-4 GROOVE SUSUKINO BLD 5階
9月18日移転開店/純喫茶喫茶プリモナ中央区南6条西18丁目2-7 アーバンテラス南6条3階
9月19日リニューアル/紳士服紳士服の山下 スーパーアウトレット新道東倉庫店東区北33条東17丁目4-20
9月19日開店/カフェ小樽茶房 HACO店西区二十四軒2条4丁目5-29
9月19日開店/寝具suyara イオン札幌平岡店清田区平岡3条5丁目3-1 イオン札幌平岡ショッピングセンター1階
9月19日開店/居酒屋原始焼き酒場ルンゴカーニバル 極北区北7条西5丁目5-1 MipLa札幌駅前1階
9月20日開店/ランニング用品STRIDE LAB 札幌店北区北13条西4丁目2-30
9月20日開店/ソフトクリームYagien softcream&coffee清田区北野7条1丁目1-1 北海道焼肉 八木園2階
9月24日開店/ジンギスカン北海道焼肉 百折歩撓 羊と牛とジビエと海鮮中央区南5条西2丁目2 サイバーシティビル4階
9月26日リニューアル/しゃぶしゃぶしゃぶ葉 札幌桑園店中央区北8条西14丁目28 イオン札幌桑園ショッピングセンター1階
9月26日開店/居酒屋蕎麦前 酒BAR 福ちゃん家中央区南2条西7丁目 M’sスペース2階
9月26日開店/居酒屋海鮮酒場 海の灯白石区北郷2条4丁目3-8 北郷メディカル1階
9月26日開店/ピラティスPilates Mirror 円山公園中央区南1条西22丁目2-1 COREX円山1階
9月28日開店/パン街角のレモンベーカリー 琴似店西区琴似2条4丁目2-2 イオン札幌琴似店1階
9月29日開店/ドラッグストアサンドラッグ 上江別店江別市上江別427-41
9月29日開店/ハンバーグ鉄板ハンバーグよしだや札幌中央区北3条西5丁目35-2 NKC3・5ビル1階

このほか、リアルエコノミーの報道によると、10月1日には地下鉄北24条駅前の旧「フルーツショップかわだ」跡に「銀だこハイボール酒場北24条店」(北区北24条西4丁目1-1)が開店します。同業態は9月8日にすすきののGROOVE SUSUKINO BLD3階で道内初出店したばかりで、1カ月足らずで2号店を出す速さです。10月9日にはゲオのオフプライスストア「Luck Rack」がイオン札幌厚別店1階に、11月には函館の「回転寿司 函館 旬花」がブランチ札幌月寒(豊平区月寒東3条11丁目1-24)に札幌初進出する予定です。

店舗デザイナーの視点:今週のリストから読めること

1. すすきの・大通の雑居ビルで「上層階・地下階」への出店が続いている。 SYNC north(地下1階〜3階の3フロア一体)、REGALO(5階)、百折歩撓(4階)、銀だこハイボール酒場すすきの店(3階)、蕎麦前 酒BAR(2階)と、今週の都心飲食・娯楽系はほぼ全部が非路面階です。上階や地下は1階より賃料が明確に安い一方で、ライブハウスやダーツバーには遮音、床荷重、排煙設備、二方向避難といった条件がつきまとい、入れる建物が限られます。地下から3階までを一体で押さえたライブハウスの事例は、逆に言えばそれだけまとまった区画が都心の既存ビルで空いていたということです。路面が埋まらず上階が動く局面ではなく、路面の賃料が高止まりしたまま上階に業態が「押し上げられている」局面と読むのが妥当だと思います。

2. 郊外の大型商業施設内で、小区画の物販テナントが入れ替わっている。 ろまん亭(イオン東札幌)、suyara(イオン平岡)、おたからや(イオン藻岩)、街角のレモンベーカリー(イオン琴似)、Luck Rack(イオン厚別)と、モール内1階の小区画への出店が目立ちます。モール内は排煙・給排水・空調が共用インフラでまかなえるため内装工事が軽く、短期の定期借家で出退店しやすい。入ってくる業態を見ると、買取、寝具、オフプライス、焼き菓子と、いずれも日用品ではなく粗利の取れる「目的来店型」の物販です。モール側がフードコートと日用品だけでは床が埋まらなくなり、区画を細かく割って高粗利テナントを集めている構図で、郊外SCの1階区画の賃料水準を測るうえで参考になります。

3. 「移転開店」の比率が高い週だった。 DCM太平店、Maison de FLEUR、喫茶プリモナが移転開店、韓国バルYOIとBARISTART COFFEEが移転閉店、マクドナルド36号恵庭店は既存店を10月4日に閉めて11月12日に新店舗を開く「スクラップ&ビルド」です。閉店ではなく移転が多いというのは、事業自体は続けたいが今の建物や区画条件が合わない、というテナントが増えているサインです。純喫茶が路面から3階へ移るケースのように、賃料圧縮を目的にした「上階への移転」は、今後も都心で増えると見ています。貸す側から見れば、上階区画でも給排水と排煙の条件さえ整えておけば飲食テナントを取れる、ということでもあります。

閉店情報(2026年9月18日〜9月30日)

日付区分・業種店名所在地
9月18日閉店/ハンバーグゴッドバーグ中央区南2条東1丁目1-19 LOVAGE S2・E1 2階
9月22日閉店/ジンギスカン平塚ジンギスカン 大通店中央区南1条西4丁目8-8 NKC1・4ビル1階
9月23日閉店/ドーナツUNI DONUTS 札幌赤れんがテラス中央区北2条西4丁目1 赤れんがテラス2階
9月26日閉店/バーSTANDING BAR INDEX-SAPPORO中央区南6条西3丁目6-22 秋水ビル地下1階
9月27日移転閉店/カフェBARISTART COFFEE中央区南1条西4丁目8
9月27日閉店/メイドカフェ萌えカフェ&BARゆるふわ中央区南4条西5丁目3-3 第2観光会館ビル4階
9月27日閉店/ソフトクリームの〜すくり〜む 4PLA店中央区南1条西4丁目1-1 4PLA地下1階
9月27日閉店/餃子みよしの 中の島店豊平区中の島2条2丁目1-24 マンション琴1階
9月29日閉店/キャンディポムダムールトーキョー 札幌すすきの店中央区南4条西5丁目10 つむぎビル1階
9月30日閉店/うなぎ鰻の成瀬 厚別南店厚別区厚別南4丁目22-11
9月30日閉店/カレーひるまがり中央区大通西6丁目6-9 クリーンビル2階
9月30日閉店/カフェカフェ・ド・クリエ 札幌駅北口店北区北6条西4丁目2-7 J1札幌北口ビル1階
9月30日移転閉店/韓国料理韓国バルYOI COCONO SUSUKINO店中央区南4条西4丁目1-1 COCONO SUSUKINO 4階

閉店リストの読み方として、まず南1条西4丁目の2件(平塚ジンギスカン大通店、BARISTART COFFEE)は、前号で取り上げた同街区の一体開発に伴う退去の続きです。土地建物が不動産会社を経て大和ハウス工業に渡り、街区ごと建て替えに向かう流れの中で、テナントの退去が数カ月かけて波のように起きています。個々の店の不振とは切り離して見る必要があります。

次に、札幌駅周辺で2件(UNI DONUTS 赤れんがテラス店、カフェ・ド・クリエ札幌駅北口店)。赤れんがテラスは道庁前のオフィス・商業複合で、10月3日には隣接する北1条西5丁目に「アーバンネット札幌リンクタワー」がグランドオープンし、飲食店が新たに6店舗開きます。北口も、後述のとおり北7条西1丁目でオフィスビルが着工しました。駅周辺は新しい床が控えているエリアで、既存ビルの飲食区画は「新しい建物に客が流れる前に契約更新をどうするか」という判断を迫られています。閉店の背景が業績なのか更新条件なのかは公表されていませんが、エリア全体の床の入れ替わりが始まっている時期だ、という読みは成り立ちます。

最後に、すすきのの非路面階3件(萌えカフェ4階、STANDING BAR地下1階、韓国バルYOI 4階)。前段で「上層階への出店が続いている」と書きましたが、同時に上層階からの退店も同じペースで起きています。非路面階は賃料が安いぶん集客の難易度が高く、出退店の回転が速い。上階区画を貸す側は、内装の原状回復条件と敷金の設定を路面より慎重に組むべきだというのが、現場の実感です。

複合施設・再開発の最新情報

JR苗穂工場跡地:官民約9千億円、札幌市の計画原案が判明

北海道新聞が9月24日に「独自」として報じたところによると、JR北海道苗穂工場(東区、約20ヘクタール)の跡地開発について、札幌市の地域産業クラスター計画の原案が判明しました。報道の要点は、脱炭素の次世代エネルギー循環システムの導入、災害や雪に強いオフィス区域を設けて企業の本社やバックアップ拠点を呼び込むこと、半導体やGX(グリーントランスフォーメーション)などの専門人材向け住居の整備、新幹線駅とつなぐ全天候型歩道の構想、そして2036年までに苗穂地区で約9千億円の官民投資を見込む、というものです。

項目内容(北海道新聞9月24日報道による)
対象地JR北海道苗穂工場跡地(東区)、約20ヘクタール
位置づけ札幌市の地域産業クラスター計画(原案)
主な内容次世代エネルギー循環システム、災害・雪に強いオフィス区域、本社・バックアップ拠点の誘致、専門人材向け住居、新幹線駅と結ぶ全天候型歩道
投資規模2036年までに約9千億円の官民投資を見込む
現時点の段階原案。事業主体・スケジュールの詳細は未公表

20ヘクタールという面積は、前号で取り上げた東区北27条東8丁目の約2000坪(約0.66ヘクタール)の更地の30倍にあたります。苗穂は札幌駅から東へ1駅、北海道新幹線の札幌延伸(新幹線駅は札幌駅)にも近く、すでにアリオ札幌やサッポロファクトリー、2024年の駅舎移転で北口側の再開発が進んだエリアです。ここに「オフィス区域」と「人材向け住居」が加わるとなれば、東区・中央区東側の住宅地の位置づけは、長期的には確実に変わります。ただし現段階は原案であり、投資額も見込みです。私としては、この話題で今すぐ土地を買いに走るような読み方は勧めません。今後、計画の正式決定と事業主体の顔ぶれ、そして工程が示された段階で改めて評価すべき案件です。

札幌駅北口・北7条西1丁目:西松建設と東急不動産のオフィスビルが着工

リアルエコノミーによると、西松建設と東急不動産は、北区北7条西1丁目1-18のオフィス新築計画(仮称「札幌北7西1建て替えプロジェクト」)について共同実施協定を結び、2026年9月1日に本体工事を着工しました。竣工は2028年春頃の予定です。建設地は2025年2月に閉館した「ホテルサンルート札幌」跡地で、複合高層ビル「さつきた8・1」の南向かいにあたります。

項目内容
所在地北区北7条西1丁目1-18(ホテルサンルート札幌跡地)
用途オフィス
規模鉄骨造(一部CFT造)、地上10階建て
敷地面積約496坪(1637.15㎡)
延べ床面積約3847坪(1万2696.22㎡)
基準階約300坪、天井高2800mmの無柱空間
工期2026年9月1日着工、2028年春頃竣工予定

基準階300坪・天井高2800mm・無柱というスペックは、札幌の中規模オフィスとしては明確に上位の仕様です。北口はこれまで南口に比べてオフィスの新規供給が少なく、築古ビルの比率が高いエリアでした。ここに2028年春、新築の上位グレード床が出てくることで、北口既存ビルの賃料交渉の力関係は変わります。前号で南口の北4西3地区(2028年夏竣工予定)について同じ趣旨を書きましたが、南北両側で2028年に新規供給が重なるという点は、札幌駅周辺のオフィスを借りる側・貸す側の双方が押さえておくべき時間軸です。

すすきの・南7条西4丁目:クラブ「チカル」跡地でホテル計画

リアルエコノミーによると、中央区南7条西4丁目の旧高級クラブ「チカル」跡地(その後ディスコ&バー「BOOTY」が2026年3月末まで営業)で、LAホールディングスのグループ会社ラ・アトレがホテル建設を計画しています。土地は2026年4月にワイ・エス・ジーが取得し、建物は7月頃に解体、現在は時間貸し駐車場です。計画は敷地約75坪(249.29㎡)、鉄骨造、地下1階・地上10階建て、延べ床面積約491坪(1623.20㎡)、高さ33.15m、着工は2026年12月7日頃の予定です。

ここで注目したいのは、土地を取得した不動産会社の名前です。前号の南1条西4丁目の街区でも、同じ会社が複数棟の土地建物をまとめてから大手デベロッパーに売却していました。すすきのでも同じ動き方をしているとすれば、「古い建物を取得して更地にし、事業者に渡す」という土地の流動化が、都心の複数の街区で同時並行で進んでいることになります。75坪の敷地で10階建てのホテルが成立するというのは、すすきのの宿泊需要と地価の水準を示す数字でもあります。

そのほかの動き

北1条西5丁目の旧HBC本社跡地に建つNTT都市開発の「アーバンネット札幌リンクタワー」(地下2階・地上26階、延べ床面積約1万8466坪)は、10月3日にグランドオープンし、高層部の「ハイアット セントリック札幌」も同日開業します。低層部の飲食店は9月1日に3店舗が先行開業しており、グランドオープン時に6店舗が加わります。また、中央区南7条西8丁目では積水ハウス不動産のインバウンド向けアパートメントホテル「MEM SAPPORO」(7階建て、22室、全室ダイニングキッチン付き)が竣工しました。この土地は当初、別の事業者が7階建て賃貸マンションを計画していたものが、2024年に更地のまま所有者が変わってホテルに用途転換した経緯があります。賃貸住宅として計画された土地がホテルに変わる例は、札幌都心では2024年以降増えており、住宅の供給が細る一因にもなっています。

Expansive aerial view of a modern city skyline with skyscrapers and construction cranes.
Photo by Ayyeee Ayyeee on Pexels

新築マンション計画・分譲地の動き

中央区北1条東3丁目:大京「ザ・ライオンズ」68戸が9月下旬着工

リアルエコノミーによると、大京はサッポロファクトリー近くの中央区北1条東3丁目1-2、1-4(旧クロステレビ北海道支社跡)で分譲マンション「ザ・ライオンズ」の建設を計画しており、2026年9月下旬の着工を予定しています。

項目内容
所在地中央区北1条東3丁目1-2、1-4
規模鉄筋コンクリート造、地上15階建て、68戸
敷地面積約285坪(941.49㎡)
延べ床面積約1697坪(5602.29㎡)
高さ44.972m
着工2026年9月下旬予定
周辺整備隣接する東4丁目線のクランク解消工事(2027年度から、2028年10月31日までの期間で市が整備中)

この計画で私が注目しているのは、隣接する東4丁目線の道路整備です。札幌市は大通から北6条東線までの約830mの区間で、直角カーブが2つ続く「クランク」を解消して道路を西側へ動かす工事を進めており、マンションの竣工時期にはクランクも解消されている見込みです。道路の線形が変わると、街区の見え方と交通量が変わり、周辺の土地評価にも影響します。前段の苗穂工場跡地の構想とあわせて、中央区東側から東区にかけての一帯は、今後数年で最も変化の大きいエリアのひとつになります。

供給全体の数字

指標数値出典
2025年 札幌市内新築分譲マンション供給戸数843戸(1988年以降で初の1000戸割れ)住宅流通研究所調査/北海道建設新聞報道
2026年以降完成予定の市内新築分譲マンション17件・1138戸北海道建設新聞
2026年上期の供給戸数・平均価格情報なし(本記事作成時点で公表資料を確認できず)—

2026年上期の供給戸数と平均価格は、本記事作成時点で公表資料を確認できませんでした。この点は情報なしとして、次回以降に追いかけます。数字が出るまでの間の見立てとしては、前号でも書いたとおり、建築費と金利の両方が上がっている局面では、デベロッパーは「売れる価格で出せる立地」に絞り込みます。今週着工する北1条東3丁目の68戸も、都心近接で道路整備の恩恵を受ける立地であり、この絞り込みの典型例と見ています。

倒産・新設法人の動向

道内全体の倒産件数(2026年8月)

北海道新聞によると、道内の2026年8月の企業倒産(負債額1千万円以上)は、帝国データバンク札幌支店の集計(法的整理のみ)と東京商工リサーチ北海道支社の集計(私的整理を含む)で、いずれも16件でした。前年同月比では帝国データバンクが5件減、東京商工リサーチが6件減です。単月では落ち着いた数字ですが、後述する建設業の年初来の数字を見ると、業種ごとの温度差が大きいことが分かります。

建設業の倒産状況(北海道庁の公式統計・2026年8月末現在)

北海道庁が9月10日に公表した「道内建設業の倒産状況(令和8年9月号)」は、東京商工リサーチ北海道支社の集計をもとにした2026年8月末現在の数字です。前号では6月号までしか確認できなかったため、今号で更新します。

項目2026年1〜8月前年同期比
道内建設業の倒産件数33件7件増
道内建設業の負債総額42億6400万円22億400万円増
1件あたりの負債額1億2900万円—
全産業に占める建設業の割合件数16.3%/金額15.7%—
原因別業績不振が87.9%—
月別の件数(2026年)1月3件、2月2件、3月1件、4月10件、5月3件、6月3件、7月8件、8月3件—

この統計で目を引くのは、4月(10件・16億7500万円)と7月(8件・17億2900万円)に集中していることです。年度の切り替わりと、夏場の資金繰りの山で息切れするパターンで、8月単月は3件・4億400万円に落ち着いています。ただ、負債総額が前年同期の2倍以上に膨らんでいる点は軽視できません。件数の増加幅(7件)より負債の増加幅(22億円)が大きいということは、1件あたりの規模が大きくなっている、つまり比較的規模のある専門工事業者が破綻に至っている、ということです。

建設・住宅設備関連の主な事例(2026年)

以下は、報道機関・調査機関が公表した2026年の道内案件のうち、建設業・住宅設備関連を中心に、今号で新たに公表されたものと前号からの継続案件を整理したものです。手続の種類はそれぞれ異なるため、正確に区別して記載しています。

企業名所在地・業種手続の種類負債額・時期
株式会社協伸システム札幌市清田区/電気工事(太陽光発電・オール電化・エコキュート)事業停止、破産申請の準備(申請前の段階)約1億6000万円、2026年9月11日事業停止(東京商工リサーチ/JC-NET 9月18日報)
株式会社ACN札幌市中央区/建築・解体工事、マンション外壁工事破産手続開始決定(札幌地裁)約2億円、8月7日申請・9月8日開始決定(北海道新聞9月2日報、JC-NET 9月17日報)
株式会社村上工業札幌市手稲区/とび工事破産手続開始決定(札幌地裁)2億2400万円、2026年8月19日(北海道新聞9月3日報)
北海総合システム株式会社札幌市厚別区/管工事破産手続開始決定(札幌地裁)1億2488万円、2026年8月5日(北海道新聞8月31日報)
株式会社エムシー企画札幌市東区/不動産・飲食業破産手続開始決定(札幌地裁)約1億4800万円、2026年8月6日(北海道新聞8月25日報)

今号で新たに公表された2件について、公表されている要因を整理します。

協伸システムは1996年設立の電気工事会社で、札幌市内の戸建て・マンション・商業施設の電気設備工事とオール電化リフォームを手がけ、2020年頃から太陽光発電設備工事に参入、本州で大型受注を得て2021年3月期には売上高約5億8697万円を計上していました。その後は受注不振と外注費の膨らみで業績が悪化し、2024年3月期の売上高は約2億8768万円、貸倒損失の計上で4740万円の赤字となり、資材高騰も重なって9月11日に事業を停止、破産申請の準備に入ったと報じられています。手続としてはまだ「申請前」の段階です。

ACNは1959年設立で、建物の解体やマンションの外壁工事を手がけ、2017年3月期の売上高は約7億円でしたが、人手不足と他社との価格競争で業績が低迷し、2025年3月期の売上高は約1億円にとどまっていたと北海道新聞が報じています。7月末までに事業を停止し、8月7日に札幌地裁へ破産を申請、9月8日に開始決定を受けました。

この2件は、前号までに整理した「とび・土工、管工事、内装仕上げ」の破綻とあわせて読むと、ひとつの像を結びます。ゼネコンやハウスメーカーの名前は出てきておらず、倒れているのは現場を実際に回している専門工事業者です。要因として繰り返し挙がるのは、資材高騰、人手不足、外注費の増加、そして価格競争。これは前段で見た「新築分譲マンション供給843戸」や「オフィス・ホテルの新築が続く一方で住宅供給は細る」という現象の裏側そのものです。作る側のコストが上がり、作れる会社が減り、結果として供給が絞られる。街の開店・閉店リストと再開発ニュースの背後には、この構造が横たわっています。

実務的な示唆をひとつ。 今回の協伸システムのケースは、太陽光発電やエコキュート、オール電化といった住宅設備の施工会社が破綻した場合に何が起きるかを考えるきっかけになります。機器そのもののメーカー保証は施工会社が破綻しても残りますが、施工会社が独自に付けていた「施工保証」や「工事保証」、定期点検の約束は、会社がなくなれば事実上履行されません。既に設備を導入している方は、手元の保証書で「誰が」保証しているのか(メーカーか、施工会社か、第三者の保証会社か)を確認しておくことをお勧めします。これから設備工事を契約する方は、施工保証が第三者機関の保証制度に裏付けられているか、工事代金の支払時期が出来高に沿っているかを、契約前に確認してください。相手を疑う話ではなく、統計が示すとおり専門工事業者の破綻が増えている局面では、標準的な手順として組み込んでおくべきことだと考えています。

今週のまとめ:不動産視点でどう読むか

  • 苗穂工場跡地の構想は「長期の地図」として持っておく。 約9千億円・2036年までという規模は札幌の再開発として突出していますが、現段階は原案です。東区・中央区東側の住宅を検討している方は、正式決定と事業主体の公表を待ってから評価軸に加えるのが妥当です。今すぐ価格に織り込まれる話ではありません。
  • 札幌駅の南北で2028年にオフィス新規供給が重なる。 北口の北7西1(2028年春)と南口の北4西3(2028年夏)。既存ビルのテナントは、いま長期の定期借家を結ぶより、2028年の供給を見据えた条件交渉の余地があります。貸す側は、更新時期をこの供給時期の前後どちらに置くかを考えておくべきです。
  • 都心の古い建物は「まとめて更地にして事業者へ」という流動化が複数街区で同時進行している。 南1条西4丁目に続き、南7条西4丁目でも同じ動き方が見えました。古い雑居ビルに入居しているテナントは、建物の所有者の変動を登記で定期的に確認しておくと、退去要請の予兆を早めにつかめます。
  • 上層階・地下階の飲食・娯楽区画は出退店の回転が速い。 貸す側は原状回復条件と敷金設定を路面より慎重に。借りる側は、遮音・排煙・二方向避難の条件が業態と合っているかを内見時に必ず確認してください。
  • 住宅設備の施工会社の破綻が現実に起きている。 太陽光・オール電化・エコキュートを導入済み、または検討中の方は、保証の主体が誰なのかを保証書で確認を。工事契約は出来高払いと第三者保証の有無をチェックしてください。

よくある質問

JR苗穂工場跡地の再開発は、いつ頃から具体的に動きますか?

北海道新聞が9月24日に報じた内容は、札幌市の地域産業クラスター計画の「原案」です。2036年までに約9千億円の官民投資を見込むとされていますが、事業主体や着工時期の詳細は本記事作成時点で公表されていません。計画の正式決定と事業者の公表を待って評価するのが妥当で、現段階で周辺の不動産価格に直接織り込まれる段階ではないと考えています。

施工会社が倒産した場合、太陽光発電やエコキュートの保証はどうなりますか?

機器そのもののメーカー保証は、施工会社が破綻しても原則として残ります。一方で、施工会社が独自に付けていた施工保証や定期点検の約束は、会社がなくなれば事実上履行されません。手元の保証書で保証の主体(メーカー、施工会社、第三者保証機関)を確認し、施工保証が第三者機関に裏付けられていない場合は、メーカーや別の業者に点検先を切り替えることを検討してください。個別のケースは契約書の内容によりますので、必要に応じて消費生活センターや専門家にご相談ください。

すすきのの雑居ビルの上階や地下に飲食店を出す場合、何を確認すればよいですか?

路面階より賃料が安い一方で、確認すべき建物側の条件が増えます。具体的には、厨房の排煙設備と排気経路、給排水の管径と排水勾配、床荷重(厨房機器や大人数の集客に耐えるか)、二方向避難の確保、そして遮音(ライブや音楽を伴う業態の場合)です。これらは内装工事で後から追加すると費用が大きく膨らむため、契約前の内見で建物側の設備図面を確認し、必要な工事の見積もりを取ってから賃料交渉に入ることをお勧めします。

次回予告

この連載は毎週水曜日に更新しています。次号では、苗穂工場跡地の計画原案の続報、南1条西4丁目の一体開発の進展、2026年上期の新築分譲マンション供給戸数と平均価格、そして10月3日にグランドオープンする「アーバンネット札幌リンクタワー」の状況を追いかけます。札幌の補助金・金利・地価を数字で整理した最新の市場レポート、リノベーション費用の考え方をまとめたリフォーム見積もり比較ガイドもあわせてご覧ください。

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本記事は2026年9月24日時点で公表されている情報にもとづいて作成しています。開店・閉店の日程は、店舗や施設の都合により変更されることがあります。再開発事業の内容・規模・時期についても、今後変更される可能性があります。倒産に関する記載は、帝国データバンク・東京商工リサーチ・報道機関・行政機関が公表した情報に基づくものであり、当サイト独自の調査や評価ではありません。統計値は調査機関の公表値です。個別企業の手続の進行状況はその後変動する場合があり、また民事再生法の適用申請は事業の再建を目的とした手続であって、事業の終了を意味するものではありません。記載内容に誤りがある場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに確認・訂正いたします。掲載写真はイメージです。

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