【2026年9月第3週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|南1条西4丁目で街区まるごと動く

【2026年9月第3週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|南1条西4丁目で街区まるごと動く中古住宅×リノベ

※本記事にはプロモーションが含まれます

札幌の街は、毎週どこかで店が開き、どこかで店が閉まっています。その一件一件は小さな出来事ですが、並べて眺めると、賃料がどこで下がっているのか、どの街区にまとまった空き床が出たのか、そして次に何が建つのかという輪郭が浮かび上がってきます。この連載では、単なる開店・閉店リストでは終わらせず、その裏側にある不動産の動きまで踏み込んで読んでいきます。

私は空間デザインの現場と宅建士の実務、その両方に軸足を置いています。店舗の設備条件からテナントの動きを読む視点と、土地・建物の権利関係から街の再編を読む視点は、本来ひとつながりのものです。「なぜこの業態がここに出たのか」「なぜあの店が今のタイミングで閉まるのか」は、多くの場合、建物側の事情で説明がつきます。

今週は、大通の一等地でひとつの街区がまるごと動き始めた話が中心になります。8月末から9月にかけて南1条西4丁目の飲食店が相次いで店を閉じていますが、これは個々の店の不振ではなく、土地の所有権が移り、一体開発に向けて動き出したことの結果です。あわせて、新築分譲マンションの供給が記録的な水準まで落ち込んでいる件、建設業の倒産が全国で増え続けている件も、数字と出典を示しながら整理します。

今週の3行まとめ

  • 南1条西4丁目で、昭和の木造雑居ビル「4丁目会館」を含む複数棟の土地建物が不動産会社を経て大和ハウス工業に渡り、一体開発が動き出した。8月末から続く同街区の閉店ラッシュはこの流れの一部と読める。
  • 今週の新規開店は地下街と郊外大型施設に集中。一方ですすきのの雑居ビル上階・地下にも複数出店があり、都心の空き床が業態を選びながら埋まりつつある。
  • 札幌市内の新築分譲マンション供給は2025年に843戸となり、記録の残る1988年以降で初めて1000戸を割った。建設費高騰と金利上昇が、供給側・需要側の双方を締め上げている。

新店オープン情報(2026年9月10日〜9月19日)

札幌速報が毎日更新している開店・閉店一覧をもとに、直近の開店・再開・移転開店・リニューアルをまとめました。所在地はGoogleマップにリンクしています。

日付区分・業種店名所在地
9月10日開店/ドラッグストアツルハドラッグ 平和通3丁目店白石区平和通3丁目北2-1
9月10日開店/カフェ日本茶カフェpocha中央区南25条西13丁目1-31 J&Hマンション1階
9月11日リニューアル/スーパーザ・ビッグ 厚別店厚別区厚別西4条6丁目700-126 イオン札幌厚別ショッピングセンター1階
9月11日開店/カフェPetit ZIKKA北広島市栄町1丁目52 tonarie北広島1階
9月12日開店/牛丼・うどん吉野家×はなまるうどん 札幌オーロラタウン店中央区大通西2丁目 さっぽろ地下街オーロラタウン内
9月12日再開/カフェリンツ ショコラ ブティック&カフェ中央区北5条西4丁目 アピア ウエスト地下1階
9月12日開店/そば蕎麦912中央区南9条西12丁目1-35 竹村コーポ1階
9月14日移転開店/菓子片隅西区西町北16丁目6-15
9月14日開店/麺販売所西山製麺 直売所白石区平和通15丁目南1-20
9月14日開店/イタリアンTaverna incrocio中央区南5条西3丁目3-4 プレシャス6ビル3階
9月14日開店/カプセルトイたぬきの星中央区南4条西4丁目1-1 COCONO SUSUKINO地下1階
9月16日開店/海鮮北海道炉端アカオニ中央区南7条西4丁目2-6 LC拾壱番館地下1階
9月16日開店/ハンバーガーフレッシュネスバーガー 麻生店北区北40条西4丁目2-10 麻生パステルセトビル1階
9月17日移転開店/ホームセンターDCM 太平店北区太平6条3丁目2-1
9月17日開店/100円ショップCan★Do DCM太平店北区太平6条3丁目2-1 DCM太平店内
9月17日開店/カフェ喫茶ブルーバード中央区北2条東4丁目 サッポロファクトリー3条館2階
9月18日開店/とんかつ参元豚研究所東区北7条東3丁目28
9月18日開店/作業着プロノ 西岡店豊平区西岡3条5丁目5-6
9月18日再開/スーパービッグハウス ウエスト西区発寒7条9丁目4-33
9月18日移転開店/バッグMaison de FLEUR 札幌地下街ポールタウン店中央区南2条西4丁目 さっぽろ地下街ポールタウン内
9月18日開店/ライブハウスSYNC north中央区南2条西5丁目6-1 札幌プラザ2・5ビル地下1階〜3階
9月18日開店/腕時計ガーミンストア 札幌北広島北広島市大曲幸町3丁目7-6 三井アウトレットパーク札幌北広島
9月18日開店/ケーキろまん亭 イオン東札幌店白石区東札幌3条2丁目1 イオン東札幌店1階
9月19日開店/寝具suyara イオン札幌平岡店清田区平岡3条5丁目3-1 イオン札幌平岡ショッピングセンター1階

店舗デザイナーの視点:今週のリストから読めること

開店リストは、読み方を決めて眺めると情報量が一気に増えます。今週のリストからは、次の3点が読み取れました。

気づき1:ホームセンターの「玉突き移転」が、郊外大型店の再配置局面に入ったことを示している。 9月13日にDCM篠路店が移転閉店し、9月17日にDCM太平店が移転開店しました。さらに同じ住所に100円ショップのCan★Do DCM太平店が同日オープンしています。これは単なる店舗の引っ越しではなく、郊外大型店のフォーマットが変わりつつあることの表れです。ホームセンターは床荷重(資材・園芸用土・塗料などは局所的にかなりの重量になります)と天井高、そして大型車が回れる駐車場配置が業態の生命線で、既存建物への居抜き転用が効きにくい業態の代表格です。その業態が移転を選ぶということは、旧店舗の建物・敷地がもう業態要件を満たさなくなったか、賃料と売上のバランスが崩れたかのどちらかです。そして空いた篠路の建物は、同じ条件を必要としない業態——倉庫、物流、あるいはディスカウント系の食品——に振り替わる可能性が高い。100円ショップのインショップ化は、単独出店の採算ラインが上がったぶん、集客力のある大型店の中に間借りする形へ寄っているサインでもあります。

気づき2:地下街への出店が同時多発している。これは設備条件で説明がつく。 今週はオーロラタウンに吉野家×はなまるうどん、ポールタウンにMaison de FLEUR、アピア ウエスト地下1階にリンツが再開、COCONO SUSUKINO地下1階にカプセルトイ店と、地下空間に4件が集中しました。地下街区画は一等地でありながら、飲食にとっては条件が厳しい場所です。給排水の勾配が取りづらく、排煙経路と換気量に上限があり、グリストラップの増設余地がほとんどない。だから地下街の飲食は、既存の設備をそのまま使える業態か、厨房負荷の小さい業態に絞られます。吉野家×はなまるうどんのダブルブランド出店は、この制約への典型的な回答です。1区画・1厨房・1スタッフ体制で2ブランドを回すことで、限られた設備容量から売上を最大化する。カプセルトイ店のように設備をほぼ必要としない業態が地下1階に入るのも同じ理屈で、これは「地下街の飲食区画が埋まりにくくなっている」ことの裏返しでもあります。テナント側から見れば、地下街の空き区画は交渉余地が出てきている、と読めます。

気づき3:すすきのの雑居ビルで、上階と地下がまとまった単位で動いている。 9月14日にイタリアンが南5条西3丁目のビル3階、9月16日に海鮮居酒屋が南7条西4丁目のビル地下1階、9月18日にライブハウスSYNC northが南2条西5丁目のビル地下1階から3階の3層をまとめて使う形でオープンしました。特に最後の1件は注目に値します。雑居ビルで地下1階から地上3階までを一括で借りられる状況というのは、複数区画が同時に空いていたということであり、そのビルでまとまった退去が起きていた可能性が高い。ライブハウスは床の遮音構造と階段幅・避難経路の確保が難関で、通常は居抜きが効かず内装費が重くのしかかる業態です。それでも成立したということは、賃料条件がかなり譲歩されたか、原状回復・造作の負担を貸主側が一部引き受けたか。どちらにせよ、すすきのの雑居ビルは「単区画では埋まらないが、大きく借りてくれる相手には条件を出す」局面に入りつつあると見ています。上階・地下は賃料が下がりやすく、逆に言えば、いま出店を検討している方には交渉のしどころがある時期です。

閉店情報(2026年9月)

飲食店の閉店については、モグトリップ札幌が公式サイト・公式SNS・店頭掲示・報道を確認源として一覧化しています。9月分から主なものを抜き出しました。

日付業種店名所在地
9月4日カフェ(移転)珈琲屋 la chic. -らしく-中央区南21条西13丁目2-6 オーツカビル1階
9月13日ホームセンター(移転閉店)DCM 篠路店北区篠路1条1丁目1-10
9月15日食堂(移転予定)マルハチポパイ中央区南1条西4丁目7-2 4丁目会館
9月18日ハンバーグゴッドバーグ中央区南2条東1丁目1-19
9月22日ジンギスカン平塚ジンギスカン 大通店中央区南1条西4丁目8-8 NKC1・4ビル1階
9月23日ドーナツUNI DONUTS中央区北2条西4丁目1 赤れんがテラス2階
9月26日バーSTANDING BAR INDEX-SAPPORO中央区南6条西3丁目6-14 秋水ビル地下1階
9月27日コーヒーBARISTART COFFEE 札幌店中央区南1条西4丁目8
9月27日ソフトクリームの~すくりーむ 4PLA店中央区南1条西4丁目1-1
9月27日定食みよしの 中の島店豊平区中の島2条2丁目1-24
9月30日カフェカフェ・ド・クリエ 札幌駅北口店北区北6条西4丁目2-7 J1札幌北口ビル1階
9月30日うなぎ鰻の成瀬 厚別南店厚別区厚別南4丁目22-11
10月7日カレー・バーFiRE CURRY BAR中央区南7条西4丁目 LC拾番館4階
10月10日カフェcafe siroca白石区栄通7丁目3-18
10月25日中華包・包(パオパオ)白石区栄通7丁目3-18

このリストで最初に目につくのは、南1条西4丁目に閉店が集中していることです。9月15日にマルハチポパイ(4丁目会館)が移転のため退店、9月22日に平塚ジンギスカン大通店(NKC1・4ビル)、9月27日にBARISTART COFFEE札幌店(南1条西4丁目8)。さらに8月末には同じ4丁目会館から居酒屋・寿司店・和食店が、8月26日には南1条西4丁目8のいきなり!ステーキ札幌南店が閉店しています。個々の店の事情が重なっただけ、と見るには集中しすぎています。理由は次章で触れます。

もうひとつ、白石区栄通7丁目3-18で10月に2店(cafe sirocaと包・包)が相次いで閉まる点も、同じ建物単位の動きとして記録しておく価値があります。建物の売却・建て替え・オーナー交代が背景にあるケースが多く、こういう「同一住所の複数閉店」は数カ月後に解体着手や新築計画として表に出てきます。

複合施設・再開発の最新情報

南1条西4丁目:大和ハウス工業による一体開発が動き出した

今週いちばんの材料はこれです。リアルエコノミーによると、札幌市中央区南1条西4丁目7の木造2階建て雑居ビル「4丁目会館」が解体される見通しとなりました。2025年12月末に札幌市中央区の不動産会社ワイ・エス・ジーが同ビルの土地建物を取得し、近隣を含めた一体的な開発が予定されているためです。

この記事で重要なのは、4丁目会館そのものよりも、その周辺で起きていたことです。ワイ・エス・ジーは同じ時期に、南1条西4丁目の「いきなり!ステーキ札幌南店」が入るフジイビル、「平塚ジンギスカン」などが入るNKC1・4ビルを含む3棟の雑居ビルの土地と更地を取得し、その後に大和ハウス工業へ売却しています。大和ハウス工業はこのエリアで一体開発を計画しており、隣接する4丁目会館も同社が取得する見込み、というのが記事の内容です。

つまり、前章で挙げた南1条西4丁目の閉店ラッシュ——8月末の4丁目会館内3店、8月26日のいきなり!ステーキ、9月15日のマルハチポパイ、9月22日の平塚ジンギスカン、9月27日のBARISTART COFFEE——は、すべて同じひとつの出来事の断片だったことになります。街区の土地がまとまり、建物が解体へ向かうとき、テナントの退去は数カ月かけて波のように起きます。開店・閉店リストを日付順に眺めているだけでは見えないものが、住所で並べ替えると見えてくる。これがこの連載でやりたいことの典型例です。

項目内容
対象4丁目会館(木造2階建)、フジイビル、NKC1・4ビルほか
4丁目会館の規模土地約57坪(190.26㎡)、延べ床約63坪(210.73㎡)
建築時期1979年に増改築の登記。それ以前の建築とみられる
取得の経緯2025年12月末にワイ・エス・ジーが取得、3棟の土地・更地とともに大和ハウス工業へ売却
今後大和ハウス工業が一体開発を計画。具体的な計画内容・時期は未公表

駅前通と西5丁目通を結ぶ仲通りは、大通駅から徒歩数分の一等地でありながら、小規模な古い建物が残っていたエリアです。この規模の敷地統合が成立したということは、地権者が限られていたか、価格が折り合う水準まで上がったかのどちらかで、いずれにせよ札幌都心の地価が「古い建物を壊して建て替えたほうが合理的」な水準に来たことを意味します。具体的な計画内容と時期はまだ公表されていないため、続報を追いかけます。

北4西3地区第一種市街地再開発事業(JR札幌駅南口)

札幌駅南口の再開発は、2025年3月に本体工事を着工し、2028年夏に南北2棟が竣工する予定で進んでいます。総延床面積は約20.3万㎡。地下鉄南北線さっぽろ駅の改良事業と一体で進められ、地下歩行者ネットワークの強化による回遊性向上が計画に組み込まれています。

棟用途規模高さ
北棟商業地下7階/地上9階、敷地面積約5,330㎡、建築面積約4,810㎡約60m
南棟商業+オフィス地下5階/地上33階、敷地面積約5,330㎡、建築面積約4,760㎡約160m

不動産の視点で言えば、この2棟が2028年夏に出てくるまでの3年弱が、札幌駅前の既存ビルにとっては最も難しい期間です。大型の新規オフィス床が控えていることは、既存ビルの賃料交渉力を確実に削ります。テナント側から見れば、いま長期の定期借家を結ぶより、2028年の供給を見据えた条件交渉ができる余地がある、ということです。

東区北27条東8丁目:約2000坪の更地が出現

リアルエコノミーによると、東区北27条東8丁目の旧「北光記念病院」の解体工事が終了し、約2000坪の更地が出現しました。北光線(東8丁目篠路通)沿いという視認性の高い立地で、しかも土地所有者は個人一人。地権者が単独でこれだけまとまった面積というのは、札幌市内ではそうそう出てきません。

経緯としては、2025年4月に北光記念病院と時計台記念病院が移転新築統合して「カレス記念病院」(東区北6条東3丁目1-1)が開院し、旧北光記念病院の解体は2025年10月に始まり2026年6月に更地化。同じくカレスサッポロが所有していた旧時計台病院の土地は住友不動産に売却され、現在は時間貸し駐車場として使われています。

2000坪という規模は、分譲マンションなら中規模1棟、商業なら郊外型のロードサイド複合、あるいは医療・介護系施設が成立する広さです。地権者が単独なら意思決定も速い。この土地に何が建つかは、東区北部の相場に一定の影響を与えるので、注視しておきたい案件です。

Tower crane working on a high-rise building construction site against a clear blue sky.
Photo by Arman on Pexels

新築マンション計画・分譲地の動き

札幌市内の新築分譲マンション供給は、減少に歯止めがかかっていません。住宅流通研究所の調査(北海道建設新聞報道)によると、2025年の供給は843戸にとどまり、記録が残る1988年以降で初めて1000戸を割りました。成約は917戸で、これも最低水準です。

指標数値備考
2025年 新築分譲マンション供給戸数843戸1988年以降で初の1000戸割れ
2025年 成約戸数917戸最低水準
主因建築費高騰、人手不足による販売価格上昇実需層が購入に二の足
デベロッパーの対応ターゲットを富裕層に絞る/民泊型物件の拡大実需向け供給はさらに細る見通し

この数字の読み方は、意外と間違えられやすいところです。「供給が減ったから不動産が不調」ではありません。むしろ逆で、建築費が上がりすぎて、従来の価格帯では事業として成立しなくなった結果、デベロッパーが「売れる価格で出せる物件しか作らない」判断をしている。だから供給は減り、出てくる物件の単価は上がる。中古マンションの相対的な優位性が高まるのは、この構造からくる必然です。

実需層にとって難しいのは、待っても状況が良くなる保証がないことです。建築費の下落は当面見込みにくく、金利はむしろ上昇局面にあります(後述のとおり、長期金利は9月1日に30年ぶりの3%台をつけました)。新築を待つ選択と、条件の合う中古を早めに押さえる選択のどちらが有利かは、個々の資金計画次第で答えが変わります。

倒産・新設法人の動向

全国の倒産統計(帝国データバンク・2026年8月報)

帝国データバンクが9月8日に発表した2026年8月の倒産集計(負債1000万円以上・法的整理が対象)は次のとおりです。

項目2026年8月前年同月増減
倒産件数827件751件10.1%増(3カ月連続で前年超)
負債総額1406億9200万円1129億3600万円24.6%増(6カ月連続で前年超)
建設業182件154件18.2%増
うち職別工事86件67件大工工事・土工・コンクリート工事などを含む
サービス業223件184件21.2%増(最多)
物価高倒産85件—9カ月連続で前年超
2026年1〜8月累計7199件6710件7.3%増。2年連続の年1万件超えが見込まれる

建設業とサービス業の2業種で全体の約半分を占めており、なかでも「職別工事」——大工工事、土工・コンクリート工事といった、元請から仕事を受ける専門工事業者——が67件から86件へ大きく増えている点が、住宅を建てる側・買う側の双方にとって重要です。元請のゼネコンやハウスメーカーが倒れなくても、その下で実際に工事をする専門工事業者が抜けると、工期は確実に遅れます。

態様別では清算型が全体の97.6%を占め、うち破産が775件。再生型(民事再生法など)は20件にとどまりました。つまり足元の倒産のほとんどは「事業を畳む」形であり、「立て直す」形は少数派です。

金利の話も触れておきます。帝国データバンクは同レポートで、インフレ警戒と日銀の政策金利引き上げ観測、財政悪化懸念を背景に長期金利が上昇し、9月1日に30年ぶりの3%台をつけたことに言及しています。「金利負担が大きくなってきている」という声が電気配線工事業者から寄せられ始めた、とも書かれています。建設費高騰・人手不足・金利負担という3つの圧力が、同時に効いている局面です。

建設業の倒産状況(北海道庁の公式統計)

北海道庁が毎月公表している「道内建設業の倒産状況」の最新版は、令和8年6月号(2026年5月末現在)です。これによると、2026年1〜5月の道内建設業の倒産は19件で前年同期比4件増、負債額は20億6000万円で前年同期比11億6700万円増でした。件数の増加幅より負債額の増加幅が大きく、1件あたりの規模が大きくなっていることが読み取れます。

なお、6月末以降の更新版は本記事作成時点で確認できませんでした。この点は情報なしとして、次回以降に追いかけます。

建設・不動産関連の主な事例(2026年)

以下は、調査機関・報道機関が公表した2026年の道内案件のうち、建設業・不動産業・住宅関連を中心に整理したものです。手続の種類はそれぞれ異なりますので、正確に区別して記載しています。

企業名所在地・業種手続時期
株式会社村上工業札幌市手稲区/とび・土工工事破産手続開始決定(札幌地裁)2026年8月19日
北海総合システム株式会社札幌市厚別区/管工事破産手続開始決定(札幌地裁)2026年8月5日
有限会社ウエルド札幌市東区/内装仕上工事破産手続開始決定(札幌地裁)2026年8月6日
株式会社土地改良振興センター札幌市南区/土木工事破産手続開始決定(札幌地裁)2026年7月28日
株式会社佐孝重建工業小樽市/土木工事破産手続開始決定(札幌地裁小樽支部)2026年7月15日
山本巧建工業株式会社帯広市/とび・土工工事破産手続開始決定(釧路地裁帯広支部)2026年7月23日
株式会社ウィッシュ旭川市/不動産賃貸業破産手続開始決定(旭川地裁)2026年7月13日
フロンティアライフ株式会社登記上本店は川上郡弟子屈町/不動産売買破産手続開始決定2026年9月(JC-NET報)
有限会社コマツ商事札幌市西区/塗料販売・化学製品卸破産手続開始決定(札幌地裁)2026年8月31日

この一覧を見て、ひとつ気づいていただきたいことがあります。並んでいるのはほとんどが専門工事業者と資材の周辺で、大手や中堅のゼネコン・住宅メーカーの名前ではありません。とび・土工、管工事、内装仕上、土木、そして塗料の卸。建設の現場を実際に回している層から先に息切れしている、というのが2026年の道内の姿です。

公表されている要因としては、資材高騰、人手不足、そして金利負担が繰り返し挙がっています。帝国データバンクの全国統計で「職別工事」が前年同月67件から86件へ増えているのと、道内でとび・土工・管工事・内装仕上の破産が続いているのは、同じ現象の全国版とローカル版です。そしてこの現象は、前章で見た「新築分譲マンション供給843戸」という数字と地続きです。作る側のコストが上がり、作れる会社が減り、結果として供給が細る。街の開店・閉店リストの背後には、この構造が横たわっています。

実務的な示唆をひとつ。 注文住宅やリノベーションを検討中で、これから施工会社と契約する方は、契約前に「住宅完成保証制度」への加入有無と、「住宅瑕疵担保責任保険」の加入状況を必ず確認してください。前者は施工会社が工事中に倒産した場合に、代わりの会社による工事完成や増加費用の一部を保証する制度で、加入は任意です。後者は新築住宅で義務化されていますが、リフォーム工事では任意扱いになります。工事代金の支払時期を出来高に合わせて刻む(着工時に大半を前払いしない)ことも、有効な自衛策です。相手を疑うという話ではなく、統計が示すとおり専門工事業者の破綻が増えている局面では、標準的なリスク管理として組み込んでおくべき手順だと考えています。

今週のまとめ:不動産視点でどう読むか

  • 閉店は「日付順」ではなく「住所順」で読む。 南1条西4丁目の一連の閉店は、個別の不振ではなく街区の土地統合という単一の出来事でした。同じ住所・同じ街区で複数の閉店が続いたら、数カ月後に解体・新築の話が出てくると考えて追いかける価値があります。
  • 都心の空き床は「大きく借りる相手」に条件が出る局面。 すすきののビルで地下1階〜地上3階を一括で使うライブハウスが成立したのは象徴的です。単区画では埋まらないが、フロアをまとめて取る相手には貸主が譲歩する。出店を検討中なら、いまは交渉の余地がある時期です。
  • 地下街の飲食区画は設備条件で選別が進んでいる。 ダブルブランド出店や、厨房を必要としない物販・アミューズメントが増えているのは、給排水・排煙・換気の制約が飲食のハードルを上げているためです。逆に言えば、既存設備を活かせる業態には好条件が出やすい。
  • 新築マンションは「待てば安くなる」構造になっていない。 供給843戸は建築費高騰の結果であり、金利は上昇局面。新築を待つ判断と、条件の合う中古を押さえる判断は、資金計画ごとに損得が変わります。一律の正解はありません。
  • 施工会社との契約前に、完成保証と瑕疵保険を確認する。 道内では専門工事業者の破産が続いています。制度の加入有無の確認と、出来高払いの設定は、いまの局面では標準的な手順として組み込むべきです。

よくある質問

南1条西4丁目の再開発は、いつごろ具体的な姿が見えますか?

本記事作成時点で、大和ハウス工業から計画の内容・規模・時期は公表されていません。一般に、この種の一体開発は土地の取得完了から解体着手までに1〜2年、その後の設計・確認申請を経て着工という流れをたどります。まずは解体工事の告知看板が出るかどうかが最初の目安になります。この連載でも続報が出次第お伝えします。

契約中の施工会社が倒産した場合、工事はどうなりますか?

まず、手続の種類によって状況が大きく異なります。破産手続開始決定は清算型で事業は終了しますが、民事再生法の適用申請は再建型であり、事業が続くことも珍しくありません。報道の見出しだけで判断せず、どの手続なのかを確認してください。そのうえで、住宅完成保証制度に加入している工事であれば、代替業者による工事完成や増加費用の一部が保証されます。加入がない場合は、既払金の扱いと出来高の評価をめぐって交渉が必要になるため、契約段階での加入確認と出来高払いの設定が実質的な防御線になります。

札幌の新築分譲マンションは、これからさらに減りますか?

報道によれば、デベロッパーは富裕層向けと民泊型に軸足を移しており、実需層向けの供給はさらに細るとの見方が出ています。ただしこれは事業者側の方針の話であり、将来の供給量を保証するものではありません。建築費と金利という2つの前提条件が変われば、方針も変わりえます。購入を検討される場合は、供給量の予測に賭けるより、ご自身の資金計画で無理のない範囲を先に決めるほうが確実です。なお、私は投資助言を行う立場にはありませんので、個別の売買判断については専門家にご相談ください。

次回予告

この連載は毎週水曜日に更新しています。次号では、南1条西4丁目の一体開発に関する続報(解体告知の有無)、東区北27条東8丁目の約2000坪の更地の用途、そして北海道庁「道内建設業の倒産状況」の6月末以降の更新を追いかけます。札幌の補助金・金利・地価を数字で整理した最新の市場レポートもあわせてご覧ください。

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本記事は2026年9月17日時点で公表されている情報にもとづいて作成しています。開店・閉店の日程は、店舗や施設の都合により変更されることがあります。再開発事業の内容・規模・時期についても、今後変更される可能性があります。倒産に関する記載は、帝国データバンク・東京商工リサーチ・報道機関・行政機関が公表した情報に基づくものであり、当サイト独自の調査や評価ではありません。統計値は調査機関の公表値です。個別企業の手続の進行状況はその後変動する場合があり、また民事再生法の適用申請は事業の再建を目的とした手続であって、事業の終了を意味するものではありません。記載内容に誤りがある場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに確認・訂正いたします。掲載写真はイメージです。

参考にした情報源

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