【2026年9月第1週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|大丸3階はリニューアル閉店と判明、リンクタワー地下1階が開業

【2026年9月第1週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|大丸3階はリニューアル閉店と判明、リンクタワー地下1階が開業札幌の町ニュース

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札幌の街は、毎週どこかで店が開き、どこかで店が閉じています。ただ、その一件一件を「開店・閉店リスト」として眺めているだけでは、街の本当の動きは見えてきません。私がこの連載で毎週やろうとしているのは、そのリストを不動産の目で読み直すことです。どの区画にどんな業態が入ったのか。閉じた店は撤退なのか、それとも工事や改装のための一時的な退去なのか。その差は、その物件の将来価値にそのまま跳ね返ります。

今週は、前号で「情報なし」として持ち越した宿題がひとつ片付きました。大丸札幌店3階からテナントが一斉に抜けた件です。前号の執筆時点では3階リニューアルの正式発表を確認できず、区画再編の可能性が高いという推測にとどめていました。今週、大丸札幌店の公式告知と地元メディアの報道により、これが「リニューアルに伴う『KiKiYOCOCHO』の営業終了」であることが確認できました。単なる不振による撤退ではなかったわけです。あわせて、移転先が判明した店舗もあります。

もうひとつの主役は、札幌駅前・北1条西5丁目に6月末に竣工した新しい複合ビルです。その地下1階のレストランゾーンが9月1日から順次開業を始めました。今週の新店リストが中央区に偏っているのは、この一棟の影響が大きい。店舗デザインの現場と宅建士の実務、その両方の視点から、今週の札幌を読んでいきます。

過去分をまとめて探したい方は、店名・所在地・日付で引ける累積版 札幌の閉店・開店リスト2026【毎週更新】 をご覧ください。

今週の3行まとめ

  • 大丸札幌店3階の一斉退去は「リニューアルに伴う KiKiYOCOCHO の営業終了」と確定。THE BODY SHOP は東急百貨店さっぽろ店1階へ、スマホスピタルは同店7階へそれぞれ移転する。
  • 旧HBC本社跡地に竣工した「アーバンネット札幌リンクタワー」の地下1階レストランゾーンが9月1日から順次開業。全11区画で、10月にかけて店舗が出そろう。
  • JR札幌駅改札内3店舗の同日閉店は「札幌駅構内工事の影響」と判明。8月の道内倒産では、左官・内装・管工事など建設関連の実名案件が複数確認された。

新店オープン情報(8月26日〜9月8日)

日付業種店名所在地
8月26日焼肉牛乃家 北3条店札幌市中央区北3条西2丁目8-3 エナビル 7階
8月28日弁当いろどり弁当札幌市北区北20条西5丁目2-27 大畠ハイツ 1階
9月1日そば手打ちそば さくら 伏古店札幌市東区伏古2条3丁目3-10
9月1日ラーメンキャプテンラーメン すすきの店札幌市中央区南5条西2丁目1-5 中銀すすきのソシアルビル 2階
9月1日居酒屋アレモコレモ札幌市西区琴似1条3丁目3-7 TM23ビル 地下1階
9月1日バーSeaside Chill 潮結札幌市中央区南6条西6丁目7-1 第6旭観光ビル 4階
9月1日スープカレータイガーカレー モユク札幌店札幌市中央区南2条西3丁目20 moyuk SAPPORO 地下2階
9月1日寿司ちょこっと寿し 季わ美札幌市中央区北1条西5丁目4-1 アーバンネット札幌リンクタワー 地下1階
9月1日うどんカレーうどん 鬼はそと札幌市中央区北1条西5丁目4-1 アーバンネット札幌リンクタワー 地下1階
9月1日トランクルームスペラボ 札幌澄川一条店札幌市南区澄川1条3丁目2-13 プレシャス17番館 1階
9月2日宝飾品Pandora 大丸札幌店札幌市中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店 2階
9月3日コンビニローソン 厚別中央5条店札幌市厚別区厚別中央5条6丁目1-2
9月4日工具アストロプロダクツ 千歳店千歳市北陽6丁目18-8
9月4日香水Aíam 札幌ステラプレイス店札幌市中央区北5条西2丁目 札幌ステラプレイス センター地下1階
9月4日カフェpond end.札幌市北区北33条西4丁目2-1 北34条ターミナルビル 1階
9月5日洋菓子(移転開店)佐藤堂・パフェ、珈琲、酒、佐藤 札幌大丸店札幌市中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店 地下1階
9月7日ジンギスカンジンギスカン ラム次郎札幌市中央区北3条西3丁目1
9月8日居酒屋銀だこハイボール酒場 すすきのグルーヴビル店札幌市中央区南4条西5丁目5-4 GROOVE SUSUKINO BLD 3階

店舗デザイナーの視点:今週のリストから読めること

気づき1:新築ビルの地下1階に飲食が集中するのには、設備上の必然がある。

9月1日開業の18件のうち2件が、同じ「アーバンネット札幌リンクタワー 地下1階」です。同ビルの商業区画は地下1階から地上2階までで、地下1階がレストランゾーン。全11区画が予定され、10月にかけて順次開業していきます。なぜ飲食が地下1階に集中するのか。これは設備の話で説明がつきます。飲食店を成立させるには、給排水・グリストラップ(油脂分離阻集器)・厨房排気ダクトの立ち上がり・ガス容量・防火区画、この5点が必要です。とくにグリストラップは床下にピットを設ける必要があり、後から既存ビルの中間階に入れようとすると床を斫(はつ)ることになって、まず現実的ではありません。地下1階、しかも新築で最初から飲食を想定して計画された区画は、これらが躯体工事の段階で仕込まれています。つまりテナント側の内装工事は、設備の一次側がすでに用意された状態から始められる。飲食店の初期投資のうち、設備一次側の負担が消えるインパクトは大きく、坪単価にして数十万円規模の差になります。新築ビルの地下1階に飲食が集中するのは、家賃の安さでも人通りでもなく、この「設備が最初から入っている」という一点が効いています。

気づき2:すすきの周辺の中層フロアが動いている。

今週の新店には、すすきの・南4〜6条の雑居ビルの中層階が3件並んでいます。中銀すすきのソシアルビル2階、第6旭観光ビル4階、GROOVE SUSUKINO BLD 3階。いずれも路面ではなく、エレベーターで上がる階です。この層の区画は、コロナ禍以降ずっと埋まりが鈍かったところですが、今週のように同時期に複数決まるのは、賃料条件が動いたか、あるいは前テナントの造作を残した居抜きが増えているかのどちらかです。飲食の居抜きは、厨房の排気系統とダクトルートがそのまま使えるかどうかで工事費が倍近く変わります。中層階のダクトは他階と共用のシャフトを通ることが多く、業態を変えると風量が足りなくなるケースがある。同じ飲食でも「ラーメン→バー」は排気量が過剰で問題ないが、「物販→焼肉」は成立しないことがある。今週の3件がいずれも飲食から飲食への入れ替えに見えるのは、この制約を織り込んだ結果でしょう。

気づき3:住宅系1階の空き床に、無人型ストレージが入り始めている。

9月1日、南区澄川のマンション1階にトランクルーム「スペラボ 札幌澄川一条店」が開業しました。これは不動産オーナーの視点で見逃せない動きです。住宅系建物の1階店舗区画は、コンビニやクリニックが抜けたあと次のテナントが決まりにくい。理由は明快で、床荷重や天井高、給排気の条件が中途半端だからです。そこに入ってくるのが無人型トランクルームです。営業時間中の人員が不要で、給排水もほぼ要らず、必要なのは電気とセキュリティ、そして床荷重と結露対策だけ。とくに札幌では、冬期の結露と夏期の湿度差でカビ被害が出やすいため、断熱と換気の設計が事業の生命線になります。裏を返せば、その2点さえ手当てできれば、住宅系1階の「決まらない区画」の受け皿になり得る。所有物件の1階が長く空いているオーナーの方は、飲食や物販だけを前提に募集条件を組んでいないか、一度見直す価値があります。

閉店情報(8月27日〜9月5日)

日付業種店名所在地
8月27日カフェCAFÉ de ROMAN 札幌藻岩店札幌市南区藻岩下2丁目2-47
8月27日惣菜洋食コノヨシ 大丸札幌店札幌市中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店 地下1階
8月30日洋菓子(移転閉店)佐藤堂・パフェ、珈琲、酒、佐藤 札幌大丸店札幌市中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店 8階
8月31日複合ゾーンKiKiYOCOCHO 内 16店舗(一斉/リニューアルのため)札幌市中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店 3階
8月31日ガソリンスタンドENEOS 北15条SS札幌市東区北15条東10丁目1-20
8月31日ガソリンスタンドENEOS 小樽駅前SS小樽市稲穂2丁目18-8
8月31日ソフトクリームUNICORN 元町店札幌市東区北23条東16丁目1-20
8月31日ドラッグストア(建て替えのため休業)ツルハドラッグ ひばりが丘店札幌市厚別区厚別南2丁目10-4
8月31日おにぎりおにぎりのありんこ ポールタウン店札幌市中央区南3条西4丁目 さっぽろ地下街ポールタウン 内
8月31日弁当弁菜亭 改札内南側店札幌市北区北6条西4丁目1-1 札幌駅 改札内
8月31日ビアスタンドBEER STAND SORACHI JR札幌駅店札幌市北区北6条西3丁目 札幌駅 改札内
8月31日洋菓子miniRain Bakeshop SapporoStation札幌市北区北6条西4丁目 札幌駅 1階改札内
9月5日スーパーマーケット(休業)ビッグハウス ウエスト札幌市西区発寒7条9丁目4-33

今週の閉店リストで最も重要なのは、「その多くが撤退ではない」という点です。大丸札幌店3階の16店舗はリニューアルに伴う営業終了。JR札幌駅改札内の3店舗は駅構内工事の影響。ツルハドラッグ ひばりが丘店は店舗建て替えのための休業で、調剤薬局は仮店舗で営業を継続します。ビッグハウス ウエストも休業扱いです。つまり13件のうち大半が、建物や施設の側の都合による一時的な退去であり、その区画の商圏が死んだことを意味しません。

閉店という一語でまとめてしまうと、街の見え方が実態より暗くなります。実務では「撤退」「移転」「改装休業」「建て替え」の4つを必ず区別します。この区別が、その区画が半年後・2年後にどうなるかの読みに直結するからです。改装休業と建て替えは、むしろ賃料水準が維持できている証拠であることも多い。オーナーが数億円の建て替え投資に踏み切れるということは、その立地の将来収益に確信があるということです。厚別南の南郷通沿いという立地で、ドラッグストアが建て替えを選んだ意味は、そこにあります。

一方、構造的な縮小として見るべきなのがガソリンスタンドです。今週は東区北15条と小樽駅前の2か所が同時に閉鎖されました。SS(サービスステーション)の閉鎖は全国的な流れで、燃料需要の減少と、地下タンクの改正消防法対応(設置から一定年数を超えたタンクの改修義務)が重なった結果です。不動産の実務で重要なのは、SS跡地は普通の更地ではないという点です。地下タンクの撤去費用がかかり、さらに土壌汚染対策法にもとづく調査が求められる場合があります。跡地取引の際は、タンク撤去の完了報告書と、土壌調査の実施状況を必ず確認してください。ここを確認せずに買うと、造成段階で予定外の費用が出ます。

複合施設・再開発の最新情報

大丸札幌店 3階「KiKiYOCOCHO」— 前号の宿題が解けました

前号では、大丸札幌店3階から多数のテナントが同日に退去した事実を掲載しつつ、「本稿執筆時点で3階リニューアルの正式発表は確認できませんでした」として持ち越していました。今週、大丸札幌店の公式サイトに「3階 キキヨコチョ 閉店のお知らせ」が掲出されていること、および地元メディアが「大丸札幌店のリニューアルに伴う閉店」と報じていることを確認しました。KiKiYOCOCHO は2018年4月25日に開業した、美容・食・雑貨を小区画で混在させたゾーンです。約8年半での全面刷新ということになります。

あわせて、退去した店舗の行き先も一部判明しました。スマホスピタルは同じ大丸札幌店の7階へ移転。THE BODY SHOP は東急百貨店さっぽろ店1階へ移り、9月9日にオープン予定です。さらに9月2日には同店2階に宝飾品の Pandora が開店し、9月5日には佐藤堂が8階から地下1階へ移転開店します。館全体では、抜けた面積を上回る動きが並行して進んでいる。「一斉退去=縮小」ではなかったわけです。

店舗設計の側から見ると、KiKiYOCOCHO のような小区画混在ゾーンは運営難易度が高い構成です。美容サービス(給排水と個室が要る)、飲食(排気とグリストラップが要る)、物販(什器と照明が主)を同一フロアに混ぜると、設備の一次側が複雑化し、区画変更のたびに床下・天井裏の改修が発生します。8年で全面刷新に至った背景には、テナント構成の陳腐化だけでなく、この設備的な硬直性もあったのではないかと私は見ています。次にどんなフロアになるかは、まだ公表されていません。ここは引き続き追いかけます。

アーバンネット札幌リンクタワー — 地下1階レストランゾーンが始動

北1条西5丁目、旧・北海道放送(HBC)本社跡地に建設された複合ビルです。2026年6月30日に竣工。高さ約110mで、オフィス、商業、そして高層階にホテル「ハイアットセントリック札幌」が入ります。商業区画は地下1階〜地上2階、うち地下1階がレストランゾーンで全11区画。9月1日から順次開業が始まり、10月にかけて店舗が出そろう計画です。

項目内容
所在北1条西5丁目(旧HBC本社跡地)
竣工2026年6月30日
高さ約110m
用途オフィス・商業・ホテル(ハイアットセントリック札幌)
商業区画地下1階〜地上2階/店舗区画数11
店舗開業2026年9月1日から順次

この立地は、札幌駅と大通のちょうど中間、いわゆる「駅前通の背骨」から一本西に入った位置です。オフィスワーカーの昼食需要とホテル宿泊者の夜間需要、その両方を1棟で抱え込める。地下1階の飲食が寿司・うどん・ハンバーグ・ワインバーと、単価帯を意図的にばらけさせているのは、この二重需要を取りにいく設計と読めます。

大型再開発の進捗(変更なし)

プロジェクト規模竣工予定
北4西3地区(JR札幌駅南口)地上35階・地下6階/延床約21万㎡2028年度
SAPPORO ONE(大通西4南)地上36階・地下3階・高さ185m/延床約10万㎡2029年8月
北5西1・西2地区(旧エスタ跡)西2丁目先行最終形は地上43階・高さ約245m西2丁目 2030年度/西1丁目 2034年度

この3件について、今週新たに公表された変更はありません。ただ、北5西1・西2地区が西2丁目先行・二段階施工に組み替えられ、最終竣工が2034年度まで延びている点は、繰り返し確認しておく価値があります。道内最高層の245mというビルが街に現れるのは、当初計画から6年遅れることになります。都心部の新しい床の供給は、当分のあいだ細いままです。今すすきのや駅前で起きているテナント入れ替えは、将来の大量供給を先取りした動きではなく、現在の賃料と売上のミスマッチによる調整だと見るのが自然でしょう。

A stylish coffee shop interior in Yokosuka, Japan with modern decor and coffee brewing equipment.
Photo by Gül Işık on Pexels

新築マンション計画・分譲地の動き

今週、新規の統計発表はありませんでした。ここでは前号で扱った不動産経済研究所の集計とは別系統の数字として、住宅流通研究所の集計にもとづき北海道建設新聞が報じた市内の供給動向を押さえておきます。集計主体と対象範囲が異なるため、数字は前号のものと一致しません。比較する際は出典を揃えてください。

項目数値出典
市内の新築分譲マンション供給(2025年)843戸(記録の残る1988年以降で初の1,000戸割れ)住宅流通研究所/北海道建設新聞
1戸あたり平均販売価格(2025年)5,739万円(前年比+600万円、+11.7%)同上
2026年以降に完成予定の物件17件・1,138戸北海道建設新聞

供給が減って価格が上がる、という構図は集計主体が変わっても同じ形で出ます。要因は用地取得費と建築費の高騰です。そして建築費の高騰は、この記事の後半で扱う建設業の倒産と、同じ根から出ています。資材と人件費が上がり、それを工事価格に転嫁できた会社は生き残り、転嫁できなかった会社が落ちる。転嫁できた分は分譲価格に乗り、購入者の負担になる。この連鎖を押さえておくと、個々のニュースが一本の線でつながります。

倒産・新設法人の動向

建設業の倒産状況(北海道庁の公式統計)

項目2026年1〜5月前年同期比
道内建設業の倒産件数19件+4件
負債総額20億6,000万円+11億6,700万円

件数の増加は4件ですが、負債総額は倍以上に膨らんでいます。1件あたりの規模が大きくなっているということで、小規模な下請だけでなく、ある程度の売上規模を持つ会社まで力尽きているサインです。この統計は北海道庁が月次で公表しているもので、上の数値は令和8年(2026年)5月末現在の集計です。

不動産・住宅・建設業の主な事例(2026年8月)

調査機関・報道機関が公表した8月の道内案件のうち、建設・不動産に関わるものを整理します。手続の種類は正確に書き分けています。「破産手続開始決定」は清算型で、事業は終了します。

企業名所在地・業種手続負債額
(有)ウエルド札幌市東区/内装仕上工事8月6日 破産手続開始決定約1億円
(株)村上工業札幌市手稲区/左官工事8月19日 破産手続開始決定(札幌地裁)不明
北海総合システム(株)札幌市厚別区/管工事8月5日 破産手続開始決定不明
(株)エムシー企画札幌市東区/不動産8月6日 破産手続開始決定不明

このうち規模が大きいのが(有)ウエルドです。1996年設立の内装仕上工事業で、ピーク時には売上高7億8,000万円を超えていました。報道によれば、コロナ禍以降に受注環境が悪化し、その後の資材価格・人件費の上昇が収益を圧迫して、負債約1億円を抱えて法的整理に至ったとされています。売上8億円近い規模まで伸ばした会社が、受注減とコスト増の二重の圧力で持ちこたえられなかった。この構図は、前段で触れた「建築費の高騰」の裏側そのものです。工事価格の上昇は、必ずしも施工会社の利益になっていない。上がったコストを発注者に転嫁しきれない立場の会社ほど、上昇局面で苦しくなります。

今週判明した(株)村上工業は1978年8月設立の左官工事業で、8月19日に札幌地裁で破産手続開始決定を受けています。左官・内装・管工事と、いずれも仕上げ工程を担う専門工事業が並んでいる点に注目してください。仕上げ工程は工期の最後に位置するため、上流の工程が遅れると人員を遊ばせることになり、資金繰りへの影響が出やすい。加えて職人の高齢化が進んでおり、労務単価の上昇を最も強く受ける層でもあります。

なお8月の道内では、建設・不動産以外にも、製造卸、IT、福祉、運送、クリーニングなど幅広い業種で破綻が確認されており、報道機関の集計では少なくとも11社に動きがあったとされています。特定の不況業種に集中しているのではなく、コスト増・人手不足・借入返済という共通の負担のもとで、企業ごとの体力差が表面化している局面と読めます。

実務的な示唆:施工会社の破綻に備える

専門工事業の倒産が続くと、リフォームや新築を検討している方にとって現実的なリスクになります。契約中の施工会社が工事の途中で破綻すると、前払金が回収できず、しかも工事も止まるという最悪の事態が起こり得ます。契約前に確認しておくべきことは3つあります。第一に、新築であれば住宅完成保証制度に加入している会社かどうか。第二に、住宅瑕疵担保責任保険(新築)またはリフォーム瑕疵保険の加入状況。第三に、支払条件です。着工前に工事代金の大半を支払う条件になっていないか、出来高に応じた分割払いになっているかを必ず見てください。これらは契約書と重要事項説明の段階で確認できます。金額の安さだけで決めず、この3点を並べて比較することをおすすめします。

大丸札幌店3階「キキヨコチョ」の閉店から再開までの動きは、追跡ページ(16店の行き先・再開情報を随時更新)にまとめています。

今週のまとめ:不動産視点でどう読むか

  • 閉店の「種類」を見分ける。今週の13件のうち大半は、リニューアル・駅構内工事・建て替えによる一時的な退去でした。撤退と改装休業を混同すると、その街区の評価を誤ります。
  • 建て替えを選ぶオーナーがいる立地は、収益の見通しが立っている。厚別南のドラッグストア建て替えは、その立地の将来収益にオーナーが確信を持っている証拠と読めます。
  • 新築ビルの地下1階に飲食が集中するのは設備の必然。裏返せば、既存ビルの中間階に飲食を誘致するなら、グリストラップと排気ダクトの成立性を先に確認する必要があります。募集条件より先に設備条件です。
  • 住宅系1階の空き床には無人型ストレージという選択肢がある。結露対策と床荷重さえ手当てできれば、飲食・物販以外の受け皿になり得ます。
  • SS跡地は普通の更地ではない。地下タンク撤去の完了確認と土壌調査の実施状況を、必ず取引前に確認してください。
  • 建築費の高騰は、供給減・価格上昇・専門工事業の破綻という3つの顔で現れる。個別のニュースを一本の線でつなげて読むと、次に何が起きるかの見当がつきます。

よくある質問

大丸札幌店の3階は、これからどうなるのですか?

2026年9月2日時点で、大丸札幌店から公表されているのは「3階 KiKiYOCOCHO の営業終了」と「リニューアルに伴うもの」という事実までで、新しいフロア構成の内容や再開時期は発表されていません。ただし、同館では9月2日に2階へ Pandora が開店、9月5日に佐藤堂が地下1階へ移転開店するなど、館内で複数の動きが並行しています。3階の新構成が公表され次第、この連載で取り上げます。

閉店した店舗の跡に、すぐ別の店が入らないのはなぜですか?

設備の条件が合わないケースが多いためです。飲食から飲食への入れ替えなら、給排水・排気ダクト・グリストラップがそのまま使える可能性がありますが、業態が変わると必要な排気風量やガス容量が変わり、既存設備が使えないことがあります。また、原状回復(スケルトン返し)の工事期間に2〜3か月かかることも珍しくありません。空いて見える期間には、工事期間と募集期間の両方が含まれています。

契約している工務店が倒産したら、支払ったお金は戻りますか?

原則として、破産手続の中で他の債権者と按分されることになり、全額が戻る可能性は高くありません。だからこそ事前の備えが重要です。新築であれば住宅完成保証制度、リフォームであればリフォーム瑕疵保険の加入有無を契約前に確認してください。また、着工前に代金の大半を支払う条件は避け、出来高に応じた分割払いにしておくことで、被害額を抑えられます。判断に迷う場合は、契約前に第三者の専門家に契約書を見てもらうのが確実です。

次回予告

この連載は毎週水曜に更新しています。次回は、大丸札幌店3階の新しいフロア構成に関する続報、アーバンネット札幌リンクタワー地下1階の10月開業組、そして9月の道内倒産動向を追いかけます。9月は上半期の締めにあたるため、四半期・半期の統計が出そろう時期でもあります。中古住宅の購入とリノベーションを比較検討している方は、札幌の補助金・金利・地価を数字で整理した最新の市場レポートもあわせてご覧ください。

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本記事は2026年9月2日時点で公表されている情報にもとづいて作成しています。開店・閉店の日程は、店舗や施設の都合により変更されることがあります。再開発事業の内容・規模・時期についても、今後変更される可能性があります。倒産に関する記載は、帝国データバンク・東京商工リサーチ・報道機関・行政機関が公表した情報に基づくものであり、当サイト独自の調査や評価ではありません。統計値は調査機関の公表値です。個別企業の手続の進行状況はその後変動する場合があり、また民事再生法の適用申請は事業の再建を目的とした手続であって、事業の終了を意味するものではありません。記載内容に誤りがある場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに確認・訂正いたします。掲載写真はイメージです。

参考にした情報源

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