「長期優良住宅化リフォーム」という言葉を目にして調べ始めた方は、まずこの一点を確認してください。同名の国の補助事業(長期優良住宅化リフォーム推進事業)は、令和8年度は実施されません。公式サイトに明記されており、令和7年度の交付申請も2025年11月14日で締め切られています。
「最大160万円の補助が受けられる」という情報を見かけたら、それは令和7年度以前の話です。2026年に工事を計画している方が、この補助金をあてにすることはできません。
では今年やる意味はないのかというと、そうではありません。補助事業とは別に、「長期優良住宅」の認定制度そのものは動いており、認定を受ければ所得税と固定資産税で優遇があります。この記事では、2026年8月時点で実際に何が使えるのかを整理します。
制度を3つに切り分ける
| 制度 | 2026年の状況 |
|---|---|
| 長期優良住宅化リフォーム推進事業(補助金) | 令和8年度は実施なし |
| 長期優良住宅の認定(増改築) | 実施中。所管行政庁が認定 |
| 長期優良住宅化リフォームの減税 | 実施中。所得税・固定資産税で優遇 |
混同されがちですが、補助金と認定と減税は別々の制度です。補助事業がなくなっても、認定と減税は残っています。
1. 長期優良住宅の認定(増改築)
既存住宅をリフォームして基準を満たせば、長期優良住宅として認定を受けられます。認定するのは所管行政庁で、札幌市内であれば札幌市です。
認定の基準
国土交通省が示す認定基準は次の5項目です。
- 構造および設備について、長期にわたり良好な状態で使用するための措置
- 住宅の面積が、良好な居住水準を確保する規模であること
- 地域の居住環境の維持・向上への配慮
- 維持保全計画が適切であること
- 自然災害による被害への配慮
最重要:着工前に申請が必要
増改築による認定は、着工前に所管行政庁へ申請しなければなりません。工事を終えてから「認定を取りたい」と言っても間に合いません。ここで諦めることになる方が実際に多い。
リフォーム会社に見積もりを依頼する段階で、長期優良住宅の認定を目指すのかどうかを決めておく必要があります。認定を取れる設計にするには、断熱・耐震・劣化対策・維持管理のしやすさを最初から織り込んでおかなければならないためです。
認定後に発生する義務
認定は取って終わりではありません。
- 認定を受けた維持保全計画に基づいて維持保全を実施する
- 建築および維持保全の状況に関する記録を作成・保存する
- 所管行政庁から報告を求められたら記録を提出する。応じない場合は30万円以下の罰金の対象
この点を説明しないまま認定を勧める業者がいます。長く住み続ける前提の家であれば負担にはなりませんが、数年で売却する計画なら、認定を取る意味があるかどうかは慎重に考えたほうがよいでしょう。
2. 減税——2026年に実際に使えるのはここ
所得税(リフォーム促進税制・投資型減税)
ローンを組まなくても使えます。適用期限は令和10年12月31日までに居住を開始した場合です。
| 工事の組み合わせ | 控除対象限度額 | 最大控除額(10%部分) |
|---|---|---|
| 耐震 または 省エネ + 耐久性向上 | 250万円(太陽光発電設備を含む場合350万円) | 25万円(35万円) |
| 耐震 + 省エネ + 耐久性向上 | 500万円(太陽光を含む場合600万円) | 50万円(60万円) |
耐震と省エネの両方をやるかどうかで、限度額が倍違います。札幌の古い住宅は耐震と断熱の両方に手を入れるケースが多いので、この差は実務上かなり効いてきます。
共通の要件は、標準的な工事費用相当額(補助金等を差し引いた額)が50万円超、合計所得金額2,000万円以下、床面積40㎡以上(所得1,000万円超の人は50㎡以上)。
注意すべきは、控除額の計算に使うのが実際に払った工事費ではなく、国が告示で定めた単価にもとづく「標準的な工事費用相当額」だという点です。国土交通省も「実際の工事費用が要件をみたしていても、標準的な工事費用相当額の合計が要件を満たさないときは、減税の適用ができません」としています。
固定資産税
増改築による長期優良住宅の認定を受けた場合、翌年度分の固定資産税から3分の2が減額されます(税額は3分の1になります)。令和13年3月31日までに行われた改修工事が対象です。
床面積40㎡以上240㎡以下であることに加え、耐震または省エネそれぞれの要件を満たす必要があります。
申告先は税務署ではなく市区町村で、期限は工事完了日から3か月以内。確定申告とはまったく別の手続きです。ここを逃すと減額を受けられません。札幌市の場合、必要書類は各区の税務課に確認してください。所得税の控除と併用する場合は、増改築等工事証明書を2部用意します。
フラット35S
長期優良住宅の認定を受けた住宅は、【フラット35】S等による金利引下げの対象になります。中古住宅を購入してリノベーションする場合、資金計画に影響します。
3. 補助金は別の制度で組み立てる
長期優良住宅化リフォーム推進事業がない2026年は、住宅省エネ2026キャンペーンや札幌市の制度で補助を確保することになります。
- みらいエコ住宅2026事業——平成28年以前に新築された住宅が対象。上限は住宅の新築時期と改修基準により40万〜100万円/戸
- 先進的窓リノベ2026事業——1戸あたり上限100万円。断熱窓への改修
- 既存住宅の断熱リフォーム支援事業(環境省)——補助率1/3、戸建上限120万円。執行団体は札幌市の北海道環境財団
- 札幌市住宅エコリフォーム補助制度——総工事費(税抜)の10%または50万円のいずれか少ない額。第2回受付は2026年9月4日〜9月17日
- 札幌市木造住宅耐震化補助制度——補助率8/10、限度額140万円。ただし完全な事前申請制
耐震+断熱を一体でやるなら、耐震部分は札幌市の耐震化補助、窓は国の窓リノベ、というように工事箇所で分けて組むのが現実的です。同じ箇所での二重取りはできません。
なお、補助金を受け取るとその額を差し引いた金額で減税の要件を判定します。補助金と減税は単純な足し算にはなりません。
▶ 関連記事:札幌市で実際に使える補助制度の組み立て方
札幌で判断するときの視点
長期優良住宅化リフォームは、耐震・断熱・劣化対策・維持管理を一体で見直す工事です。費用は大きくなります。それに見合うかどうかは、その家にあと何年住むかで決まります。
札幌の場合、断熱改修の効果は本州より大きく出ます。暖房費の削減額が毎年積み上がるためです。一方で、認定後の維持保全と記録保存という義務が続くこと、着工前申請が必須で工程に余裕が要ることは、事前に理解しておくべき点です。
「補助金が出るから」という理由だけで踏み切るのは危険です。2026年はその補助事業自体がありません。断熱・耐震の効果と、減税で戻る額を並べて判断してください。
よくある質問
Q. 長期優良住宅化リフォーム推進事業は2026年も使えますか?
A. 使えません。公式サイトに「令和8年度、本事業は実施しません」と明記されています。後継事業の有無は公表されていません。
Q. 工事が終わってから認定を申請できますか?
A. できません。増改築による長期優良住宅の認定は、着工前に所管行政庁へ申請する必要があります。
Q. 認定を受けると、あとで何か義務がありますか?
A. 認定を受けた維持保全計画に基づく維持保全の実施と、建築・維持保全の状況に関する記録の作成・保存が必要です。所管行政庁からの報告要求に応じない場合、30万円以下の罰金の対象になります。
Q. 耐震だけ、省エネだけでも減税は受けられますか?
A. 長期優良住宅化リフォームの枠では、耐震または省エネに耐久性向上工事を組み合わせた場合が対象で、限度額250万円(太陽光を含む場合350万円)です。耐震と省エネの両方に耐久性向上を組み合わせると500万円(同600万円)になります。
Q. 固定資産税の減額はいつ申告しますか?
A. 工事完了日から3か月以内に、家屋のある市区町村へ申告します。確定申告とは別の手続きで、期限を過ぎると受けられません。
2026年に使える補助制度の全体像はリフォーム補助金2026【札幌・北海道版】、減税の使い分けはリフォームで使える減税は3つで解説しています。
まとめ
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業(補助金)は令和8年度は実施なし。古い情報に注意
- 認定制度と減税は継続中。補助金・認定・減税は別の制度
- 認定は着工前に所管行政庁へ申請。工事後では取れない
- 所得税は耐震+省エネ+耐久性向上で限度額500万円・最大50万円(令和10年末まで)
- 固定資産税は翌年度分から3分の2が減額。工事完了から3か月以内に市区町村へ申告
- 認定後は維持保全と記録保存の義務が続く。報告に応じないと30万円以下の罰金
- 補助金は住宅省エネ2026キャンペーンや札幌市の制度で組み立てる
2026年に長期優良住宅化リフォームを検討するなら、補助金ではなく減税と光熱費削減で採算を見ることになります。そのうえで、着工前申請という工程上の制約を先に押さえてください。順番を間違えると、認定そのものが取れなくなります。
※本記事は2026年8月時点の国土交通省・国税庁・札幌市の公表資料に基づく一般的な解説です。個別の適用可否は所管行政庁・所轄税務署へご確認ください。
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