リフォームで使える減税は3つ|住宅ローン控除・投資型減税・固定資産税の使い分けを宅建士が解説

リフォームで使える減税は3つ|住宅ローン控除・投資型減税・固定資産税の使い分けを宅建士が解説リフォーム・リノベの費用

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リフォームで使える減税制度は、ひとつではありません。ローンを組んだかどうか、どんな工事をしたかによって、使える制度が変わります。ここを取り違えると「申告したのに対象外だった」ということが起こります。

2026年8月時点で、リフォームに関係する減税は大きく3つです。

  • 住宅ローン減税(増改築等)——10年以上のローンを組んでリフォームした場合
  • リフォーム促進税制(投資型減税)——ローンを組まなくても使える、工事の種類に応じた所得税の控除
  • 固定資産税の減額——翌年度の固定資産税が減る。市区町村への申告が必要

この記事では、宅建士の立場から、どれが自分に当てはまるのかを順に判断できるよう整理します。数値は国土交通省が令和8年度税制改正を反映して公表している資料に基づいています。

1. 住宅ローン減税(増改築等)——ローンを組んだ場合

10年以上のローンでリフォームした場合に使える制度です。令和8年1月1日から令和12年12月31日までに入居する場合の条件は次のとおりです。

項目内容
控除率年末ローン残高の0.7%
借入限度額2,000万円
控除期間10年
最大控除額140万円
床面積40㎡以上(合計所得金額1,000万円超の人は50㎡以上)
所得要件合計所得金額2,000万円以下
ローンの条件償還期間10年以上
工事費補助金等を差し引いた額(税込)が100万円超
入居時期工事完了から6か月以内に居住し、その年の12月31日まで住み続ける

ここを間違えやすい:リフォームは「拡充」の対象ではない

令和8年度の税制改正で住宅ローン減税は拡充されましたが、借入限度額の引き上げや控除期間13年への延長は「既存住宅の取得」が対象です。リフォーム(増改築)は2,000万円・10年のまま据え置きです。「上限が上がった」という説明を見かけたら、それが取得の話かリフォームの話かを確認してください。

対象になる工事(第1号〜第6号工事)

  1. 増築、改築、建築基準法上の大規模の修繕・大規模の模様替
  2. マンションで、床・階段・間仕切壁・主要構造部である壁のいずれかの過半について行う修繕・模様替
  3. 居室・調理室・浴室・便所・洗面所・納戸・玄関・廊下のいずれかの床または壁の全部について行う修繕・模様替
  4. 一定の耐震基準に適合させるための修繕・模様替
  5. 一定のバリアフリー改修工事
  6. 全居室の全窓の断熱改修、またはそれと併せて行う床・壁・天井の断熱改修

対象にならない工事——ここが最大の落とし穴

国土交通省が明示している「対象外」の例です。実務で相談が多いものばかりです。

  • 単体で行う屋根・外壁の塗装(第1号工事と同時に行う場合は一体工事として対象になりうる)
  • 単体で行う設備交換——システムキッチン、便器、洗面台、給湯器など
  • 単体で行う壁クロスの張り替え
  • ホームエレベーターの設置
  • 外構工事——テラス、デッキ、フェンス、カーポートなど
  • ソーラーパネルの設置——屋根の改修と同時に行っても、付随工事として計上できません
  • 蓄電池——省エネ改修の対象になりません

「キッチンを新しくしたから減税できるはず」という思い込みで進めてしまう方が多いのですが、設備を入れ替えただけでは対象外です。第3号工事に当たる床や壁の全面改修と一緒に行うかどうかで、扱いが変わります。

また、賃貸住宅は原則対象外です。対象になるのは耐震改修と、耐震改修を併せて行う長期優良住宅化改修のみ。親名義の家をリフォームした場合も、自己所有ではないためローン控除は使えません

2. リフォーム促進税制(投資型減税)——ローンを組まなくても使える

自己資金でリフォームした場合でも、工事の種類が該当すれば所得税が控除されます。適用期限は令和10年12月31日までに居住を開始した場合です。

対象工事控除対象限度額最大控除額(10%部分)
耐震250万円25万円
バリアフリー200万円20万円
省エネ250万円(太陽光発電設備を含む場合350万円)25万円(35万円)
三世代同居対応250万円25万円
長期優良住宅化(耐震または省エネ+耐久性向上)250万円(太陽光を含む場合350万円)25万円(35万円)
長期優良住宅化(耐震+省エネ+耐久性向上)500万円(太陽光を含む場合600万円)50万円(60万円)
子育て対応250万円25万円

「標準的な工事費用相当額」という落とし穴

この制度で最も誤解されるのが計算のもとになる金額です。控除額は実際に支払った工事費ではなく、国が告示で定めた単価にもとづく「標準的な工事費用相当額」で計算されます。

国土交通省も「実際の工事費用が要件をみたしていても、標準的な工事費用相当額の合計が要件を満たさないときは、減税の適用ができません」と明記しています。200万円払ったから200万円分で計算される、とは限らないということです。見積もり段階で、増改築等工事証明書を発行する建築士に確認しておくのが確実です。

共通の要件は、標準的な工事費用相当額(補助金等を差し引いた額)が50万円超、合計所得金額2,000万円以下、床面積40㎡以上(所得1,000万円超は50㎡以上)。ただし耐震改修だけは床面積の制限がありません

子育て対応改修は、19歳未満の扶養親族がいるか、本人または配偶者が40歳未満であることが条件です。

3. 固定資産税の減額——申告先は税務署ではなく市区町村

所得税とは別に、翌年度の固定資産税が減額されます。令和13年3月31日までに行われた改修工事が対象です。

対象工事減額される割合主な要件
耐震翌年度分が2分の1になる昭和57年1月1日以前から所在/工事費50万円超
バリアフリー翌年度分から3分の1が減額(税額は3分の2に)65歳以上・要介護等/新築後10年以上/工事費50万円超
省エネ翌年度分から3分の1が減額(税額は3分の2に)平成26年4月1日以前から所在/工事費60万円超
長期優良住宅化翌年度分から3分の2が減額(税額は3分の1に)増改築による長期優良住宅の認定

バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化は、改修後の床面積が40㎡以上240㎡以下であることが必要です。

最も見落とされるのが申告期限です。工事完了日から3か月以内に、家屋のある市区町村へ申告しなければなりません。確定申告とは窓口も期限も違います。所得税の控除と併用する場合は、増改築等工事証明書を2部用意して、税務署と市区町村にそれぞれ提出します。必要書類は自治体によって異なるので、札幌市の場合は各区の税務課に事前確認してください。

併用できる組み合わせ・できない組み合わせ

  • 所得税の特別控除 × 固定資産税の減額——併用できます。増改築等工事証明書を2部用意します。
  • 住宅ローン減税(中古住宅の「取得」費用のローン) × リフォーム促進税制——併用できます。
  • 住宅ローン減税(「増改築費用」のローン) × リフォーム促進税制(所得税)——併用できません。どちらか有利なほうを選ぶことになります。

ただし耐震改修については、国税庁が住宅耐震改修特別控除と住宅ローン控除の両方の適用を受けられる場合があるとしており、国土交通省の説明と表現が一致していません。耐震改修とローンを組み合わせる場合は、必ず所轄の税務署に事前確認してください。

確定申告に必要な書類

初年度は確定申告が必要です。給与所得者でも、1年目は自分で申告します。

  1. 確定申告書
  2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  3. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関から届きます)
  4. 登記事項証明書(計算明細書に不動産番号を記載すれば省略できます)
  5. 増改築等工事証明書
  6. 工事請負契約書の写し
  7. 補助金の交付を受けた場合はその金額がわかる書類

増改築等工事証明書を発行できるのは、建築士事務所に所属する建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかです。原則として工事完了後の発行で、工事をした事業者以外でも発行できます。リフォーム会社が「うちでは出せない」と言っても、他の建築士に依頼する道があります。

なお第1号工事のうち建築確認を伴うリフォームであれば、確認済証または検査済証の写しを提出することで、増改築等工事証明書は不要になります。

2年目以降は、給与所得者であれば年末調整で処理できます。

札幌でリフォームする場合の実務的な注意

札幌で相談が多いのは断熱改修です。内窓(二重窓)の設置は寒冷地では効果が大きいのですが、一部の窓だけに内窓を入れても、原則として第6号工事には該当しません。第6号工事は「全ての居室の全ての窓」の断熱改修が前提だからです。

一部設置で計上できるのは、改修後に住宅性能評価書を取得した場合か、増改築後の長期優良住宅認定を受けた場合、あるいは床・壁の全面改修(第3号工事)に付随して設置した場合に限られます。「窓だけ替えて減税」を前提に資金計画を立てると、あとで狂います。

また、補助金と減税は別物です。国の住宅省エネキャンペーンや札幌市の補助制度を使った場合、補助金の額を差し引いた金額で工事費要件を判定します。補助金を差し引いた結果100万円を下回れば、ローン控除は使えません。

よくある質問

Q. キッチンを新しくしただけでも減税を受けられますか?

A. 単体での設備交換は対象外です。国土交通省が明示しています。第1号〜第6号工事に該当する工事と同時に行う場合は、一体の工事として対象になる可能性があります。

Q. 外壁塗装は対象になりますか?

A. 単体で行う塗装工事は対象外です。ただし外壁の第1号工事と同時に行う塗装は、一体工事として対象になりうるとされています。

Q. 親の家をリフォームしました。控除は受けられますか?

A. 住宅ローン控除は「自己の所有する家屋」が対象のため、親など他人名義の家屋のリフォームでは適用を受けられません。

Q. 中古住宅を買ってリフォームする場合はどうなりますか?

A. リフォームが対象の増改築等に該当すれば、取得分と増改築分のそれぞれで控除を計算し、合算できます(住宅の区分ごとに定められた控除限度額が上限)。ただし対象工事に該当しない軽微な修繕は、入居前に行った場合に限り取得価額に含められ、入居後では対象になりません。

Q. いくら戻ってくるか、事前に確定できますか?

A. できません。控除はその年に納めた所得税額が上限ですし、投資型減税は標準的な工事費用相当額で計算されます。最終的な適用可否は、増改築等工事証明書を発行する建築士、所轄税務署、市区町村の判断によります。

まとめ

  • ローンを組んだなら住宅ローン減税(0.7%・上限2,000万円・10年)。令和8年度改正でもリフォームは据置
  • 自己資金ならリフォーム促進税制。ただし計算は実費でなく標準的な工事費用相当額
  • 固定資産税の減額は工事完了から3か月以内に市区町村へ。確定申告とは別
  • 単体の設備交換・塗装・クロス張替・外構・ソーラーパネルは対象外
  • 補助金を使った分は工事費から差し引いて要件を判定する

制度の中身より先に、自分の工事が第1号〜第6号工事のどれに当たるのかを確認してください。ここが決まらないと、どの制度も検討のしようがありません。見積もりを取る段階で、増改築等工事証明書を出せる建築士に相談しておくのが遠回りに見えて一番早い方法です。

※本記事は2026年8月時点の国土交通省・国税庁の公表資料に基づく一般的な解説です。個別の適用可否は所轄税務署・市区町村へご確認ください。

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