札幌市の危険空家除却補助【2026年度】9月30日締切・通常型は最大50万円と申請の段取り

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相続した実家が札幌にあって、もう誰も住んでいない。屋根や外壁が傷んできて、雪が落ちて近所に迷惑をかけないか気になる。でも解体には費用がかかるので踏み切れない ── そういうご相談を受けることがあります。

札幌市には、そうした空き家の解体費用を補助する「札幌市危険空家等除却補助制度」があります。2026年度(令和8年度)の申請期限は令和8年9月30日(水)まで。ただし予算に達し次第終了します。

そしてもう1つ、見落とされやすい期限があります。申請の前提になる「事前確認」の依頼受付は、9月16日(水)までです。この記事では、札幌市の公式資料をもとに、補助額の計算方法と申請の段取りを整理します。空間デザイナー×宅建士の視点でまとめています。

結論:期限は「9月16日」と「9月30日」の2つ

手続き期限内容
事前確認の依頼令和8年9月16日(水)その空き家が「危険空家等」に該当するかの判定を受ける。結果が出るまで2週間程度かかる
補助金の交付申請令和8年9月30日(水)
※予算に達し次第終了
事前確認で危険性ありと判定されたものについて申請できる

事前確認の結果が出るまでに2週間程度かかるため、9月16日ぎりぎりに依頼すると、9月30日の申請期限に間に合わない可能性があります。逆算すると、実質的な締切は9月上旬と考えたほうが安全です。

そして重要な前提がもう1つ。交付決定前に契約された工事は対象になりません。「先に解体してから申請する」ことはできません。

補助額はいくら? 通常型と地域連携型で10倍違う

この制度には2つの型があります。補助率も上限額も大きく違います。

1. 通常型2. 地域連携型
補助額次の3つのうちいちばん低い額
・除却工事費 × 1/3
・標準除却費 × 延べ面積 × 8/10
50万円
次の3つのうちいちばん低い額
・除却工事費 × 9/10
・標準除却費 × 延べ面積 × 9/10
150万円
土地の利用制限なし除却後の土地を5年間、地域の自治組織などに無償で貸与すること。自治組織などが土地を維持管理しながら活用することに同意すること

標準除却費は国が定めた延べ面積1㎡あたりの単価で、木造36,000円/非木造51,000円です。

実際に計算してみる

木造・延べ面積100㎡の空き家を、除却工事費150万円(税抜)で解体する場合の通常型を計算します。

  • 除却工事費 × 1/3 = 150万円 × 1/3 = 50万円
  • 標準除却費 × 延べ面積 × 8/10 = 36,000円 × 100㎡ × 8/10 = 288万円
  • 上限 = 50万円

→ いちばん低い額なので補助額は50万円

この例から分かるように、木造で一定の広さがあれば、2つ目の「標準除却費 × 面積 × 8/10」はまず上限に引っかかりません。実質的には「工事費の1/3」と「50万円」のどちらか低いほうで決まります。工事費150万円が、通常型で50万円満額を受けられる分岐点になります。

一方地域連携型は補助率9/10・上限150万円と桁が違いますが、除却後の土地を5年間、町内会などに無償で貸すことが条件です。跡地を売却したい、駐車場にしたいという場合には使えません。

なお令和8年度の地域連携型は、原則として令和9年度以降に交付申請を行うことを目指す案件の協議・相談を受け付ける扱いとされています。今年度中に工事まで進めたい場合は通常型が現実的です。

「除却工事費」に含められないもの(見積もりの見方)

補助額の計算に使う「除却工事費」には、次のものを含められません。

  • 残置処分費(家財道具や残された物の処分費用)
  • 跡地の舗装費用
  • 手数料等
  • 消費税及び地方消費税

また、値引がある場合は、税抜額から値引額を減じて除却工事費を算出します。

ここは実務上とても大事です。解体業者の見積もりは、建物の解体費と残置物の処分費が一体になっていることが多いのですが、この制度では残置処分費が対象外です。見積もりを取るときに「建物の除却工事費」と「残置処分費」を分けて記載してもらってください。一体の見積もりだと、補助対象額の算定でもめる可能性があります。

対象になる空き家・ならない空き家

札幌市がいう「空き家」とは、札幌市内にあり、原則として1年以上使用されていない建物やその附属工作物などを指します。

そのうえで、補助の対象になる工事は次のすべてに該当するものです。

  1. 札幌市が行う事前確認で危険性があると判断された空き家(危険空家等)について、原則としてその全部を除却し、更地にする工事であること
  2. 建設業法に基づく業種(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)の許可、または建設リサイクル法に基づく北海道知事の登録を受けた事業者に請け負わせる工事であること
  3. 除却工事費に対して、他の補助金などの交付を受けていないこと
  4. 原則として、交付決定後3か月以内に工事完了の報告書を提出できる工事であること
  5. 未着手の工事であること(交付決定前に契約された工事は対象外)

「一部だけ壊す」「基礎は残す」は原則として対象になりません。更地にすることが条件です。

申請できる人(個人のみ・法人は不可)

次のすべてに該当する個人が対象です。法人等の申請はできません。

  • 工事を行おうとする方(工事の契約者や発注者)
  • 令和8年度内に、この要綱による補助金の交付申請をしていないこと(申請は一人1回まで
  • 札幌市に納付すべき税(市民税、固定資産税・都市計画税)を滞納していないこと
  • 暴力団員でないこと。また、暴力団や暴力団員と密接な関係を有する者でないこと
  • 次のいずれかに該当すること
    • 除却しようとする空き家の建物所有者(登記名義人などの相続人を含む
    • 除却しようとする空き家の所在地の土地所有者(登記名義人に限る)
    • その他札幌市が認めた方(空き家の建物所有者の親族など

「相続人を含む」と明記されている点は重要です。相続登記が済んでいなくても、相続人であれば申請できる可能性があります。ただし後述のとおり、所有関係が明確であることは求められます。

申請の要件(ここでつまずく人が多い)

次のすべてに該当する場合に申請できます。

要件実務上のポイント
除却しようとする空き家の所有関係が明確であること相続人が複数いて未分割の場合、誰が所有者かを整理しておく必要がある
空き家を売買している場合、直近の売買から申請までに1年以上が経過していること買ってすぐ解体して補助を受ける、という使い方はできない
申請者以外に建物所有者がいる場合、その全員から同意が得られていること除却することと、除却工事の概要(空き家の写真など)を市の広報等に使用する可能性があることの両方について同意が必要
抵当権など所有権以外の権利が設定されているときは、その権利者全員から同意が得られていること古い抵当権が残ったままのケースは実際にある。登記事項証明書で先に確認を

相続した実家でいちばん時間がかかるのが、この「所有関係の整理」と「共有者全員の同意」です。兄弟が複数いる、相続人の一人が遠方にいる、といったケースでは、9月30日から逆算して今から動き始めても余裕はありません。

また、登記簿に古い抵当権が残っていることは珍しくありません。完済済みでも抹消登記をしていなければ登記上は残ります。この場合、権利者(金融機関など)から同意を得るか、抵当権抹消登記を先に済ませる必要があります。登記事項証明書は真っ先に取ってください。

事前確認の進め方

補助金を受けたい方は、令和8年5月15日(金)以降に札幌市に対して事前確認の依頼を行い、その空き家が「危険空家等」に該当するかの判定を受けます。

事前確認の結果をお知らせするまで、関係書類の提出から2週間程度かかります。危険空家等に該当すると判定されたものについて、予算の範囲内で補助金の交付申請を受け付けます。

事前確認依頼の提出書類

  • 事前確認依頼書(兼判定書)(札幌市のページにワード版・PDF版あり)
  • 本人確認書類の写し(運転免許証や保険証などのコピー)
  • 対象建物の場所がわかる地図(地図を印刷し、対象建物に印をつけたもの)
  • 対象建物の現況写真(対象建物と敷地の全体がわかるよう撮影したもの)

提出は持参または郵送です。書類自体は難しくありませんが、現況写真は「建物と敷地の全体がわかるよう」撮る必要があります。雪が積もると建物の下部や敷地の境界が見えなくなるため、撮影は雪が降る前に済ませておくのが確実です。

解体するか、残して活用するか

補助金があるとはいえ、通常型の上限は50万円。工事費150万円なら自己負担は100万円です。決して小さい額ではありません。

判断材料として押さえておきたいのが、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れるという点です。住宅が建っている土地は課税標準額が軽減されていますが、建物を壊すとこの軽減がなくなります。解体後に土地を持ち続ける場合、翌年度から固定資産税が上がる可能性があります。具体的な税額は個別の事情によって変わるため、札幌市の資産税課にご確認ください。

一方で、倒壊や部材の飛散のおそれがある状態を放置するリスクもあります。札幌は積雪があるため、屋根の落雪や積雪荷重による損壊が近隣に及ぶ可能性は本州より高くなります。

建物の傷みがまだ軽く、構造がしっかりしているなら、リノベーションして貸す・売るという選択肢も検討する価値があります。その場合は耐震性と断熱性能の確認が出発点になります。札幌市には耐震改修に補助率8/10・最大140万円の制度があり、こちらの申込期限は9月11日(金)です。詳しくは札幌市の耐震改修補助金の記事にまとめています。

解体して更地にするか、直して活用するか。この判断は、建物の状態・立地・相続人の意向・税負担のすべてが絡みます。解体費用の見積もりと、リフォーム費用の見積もりの両方を取ってから判断することをおすすめします。

あわせて確認したい札幌市の空き家関連の制度

札幌市は株式会社クラッソーネと空き家に関する連携協定を締結しており、家屋の立地・構造・床面積を入力すると解体費の相場を確認できる「解体費用シミュレーター」が公式ページから案内されています。見積もりを取る前の目安として使えます。

制度2026年度の期限内容
危険空家等除却補助制度9月30日(水)通常型 上限50万円/地域連携型 上限150万円
木造住宅耐震改修工事等補助事業9月11日(金)補助率8/10・最大140万円。無料耐震診断あり
住宅エコリフォーム補助制度第2回 9月4日〜9月17日工事ごとの定額補助。上限50万円

2026年度は、9月11日・9月16日・9月17日・9月30日と、札幌市の住宅関連補助の期限が9月に集中しています。複数を検討している場合は、書類の準備を同時に進める必要があります。

よくある質問

Q. 相続登記が済んでいなくても申請できますか?

申請できる方の要件に「登記名義人などの相続人を含みます」と明記されているため、相続人であれば申請できる可能性があります。ただし申請の要件として「所有関係が明確であること」「申請者以外に建物所有者がいる場合はその全員の同意」が求められます。相続人が複数いる場合は、全員の同意を得られる状態にしておく必要があります。個別のケースは市の担当課にご確認ください。

Q. 法人名義の空き家でも使えますか?

使えません。この制度は「以下のすべてに該当する個人」が対象で、法人等の申請はできないと明記されています。なお申請は一人1回までで、令和8年度内に既に申請している場合は再度申請できません。

Q. 建物の一部だけを解体する場合は対象になりますか?

原則として対象になりません。補助の対象は「原則としてその全部を除却(解体)し、更地にする工事」と定められています。判断に迷う場合は事前に市へご相談ください。

Q. 先に解体してから申請できますか?

できません。対象は未着手の工事で、交付決定前に契約された工事は対象になりません。「事前確認 → 交付申請 → 交付決定 → 契約・着工」という順番を守る必要があります。

Q. 地域連携型のほうが有利に見えますが、なぜ通常型を選ぶ人がいるのですか?

地域連携型は除却後の土地を5年間、地域の自治組織などに無償で貸与することが条件だからです。跡地を売却したい、駐車場にしたい、建て替えたいという場合には使えません。また令和8年度の地域連携型は、原則として令和9年度以降に交付申請を行うことを目指す案件の協議・相談を受け付ける扱いとされています。

Q. 解体すると税金が上がると聞きました。

更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため、翌年度から土地の固定資産税が上がる可能性があります。ただし税額は土地の評価額や面積によって変わり、また空き家の状態によっては特例が既に外れている場合もあります。具体的な影響は札幌市の資産税課にご確認ください。

まとめ

  • 2026年度の申請期限は令和8年9月30日(水)。ただし予算に達し次第終了
  • 事前確認の依頼受付は9月16日(水)まで。結果が出るまで2週間程度かかるので、実質の締切は9月上旬
  • 通常型は補助率1/3・上限50万円。木造なら実質「工事費の1/3」と「50万円」の低いほうで決まる
  • 地域連携型は補助率9/10・上限150万円だが、跡地を5年間、地域に無償貸与する条件つき
  • 標準除却費は木造36,000円/非木造51,000円(延べ面積1㎡あたり)
  • 残置処分費・跡地の舗装費用・手数料・消費税は除却工事費に含められない。見積もりは項目を分けてもらう
  • 申請できるのは個人のみ。法人は不可。申請は一人1回まで
  • 交付決定前に契約した工事は対象外。先に壊してからでは受けられない
  • 共有者・抵当権者全員の同意が必要。登記事項証明書は真っ先に取る
  • 現況写真は雪が降る前に撮っておく

制度の内容は変更される場合があります。金額・期間・要件は申請前に必ず札幌市の公式ページの最新版でご確認ください。相続や税務に関する最終的なご判断は、司法書士・税理士などの専門家に直接ご確認ください。

出典: 令和8年度札幌市危険空家等除却補助制度のご案内(札幌市公式・2026年6月10日更新)

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