持ち家の売却は、さまざまな要因によって影響を受けます。特に、築年数や市況の変化は、売却価格に大きな影響を与えることがあります。売却を検討している方は、築年数と市況の関係を理解することが重要です。
売却で出ていく費用を、金額の根拠つきで並べる
売却の手取りは「売れた額」ではなく「売れた額から下の費用を引いた額」です。いずれも計算根拠が決まっているので、見積もりの前に自分で概算できます。
| 費用 | 金額の決まり方 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買代金400万円超は「代金×3%+6万円」+消費税が上限(200万円超400万円以下は4%+2万円、200万円以下は5%) | 宅地建物取引業法で定められた上限で、必ずこの額という意味ではありません |
| 仲介手数料(低廉な空家等) | 売買代金800万円以下の空家等は、上限33万円(税込) | 2024年7月1日施行の改正。それ以前は400万円以下・19.8万円が上限でした |
| 印紙税 | 売買契約書の記載金額で決まる定額。1,000万円超5,000万円以下は1万円、5,000万円超1億円以下は3万円(軽減措置適用時) | 軽減措置は令和9年3月31日までに作成される契約書が対象 |
| 抵当権抹消の登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 | 土地と建物で2個と数えます。司法書士に依頼する場合は報酬が別途 |
| 譲渡所得税・住民税 | 譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超なら所得税15%+住民税5%、5年以下なら所得税30%+住民税9%(別途、所得税額の2.1%の復興特別所得税) | かかるのは売却代金ではなく譲渡益に対してです |
譲渡益が出た場合でも、自分が住んでいた家を売るときは居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を使える可能性があります。要件や併用の可否は状況で変わるため、税額の見込みは税務署か税理士に確認してください。
複数社を比較すると数十万円の差が出ることもあります
手順・進め方
持ち家の売却手順は、以下のようになります。
- 不動産会社への依頼
- 物件の評価
- 売却価格の決定
- 売却広告の作成
- 見学会の実施
- 入札または交渉
- 売却契約の締結
売り時を決める4つの軸
「今売るべきか、あと数年待つべきか」——この判断は、次の4つを並べて考えます。ひとつだけ見て決めると、たいてい失敗します。
1. 税制の期限——これだけは日付が決まっている
市況は読めませんが、税制の期限は動きません。ここが最も優先度の高い判断材料です。
自宅を売って利益が出た場合、居住用財産の譲渡には3,000万円の特別控除があります。重要なのは、すでに引っ越している場合の期限です。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。転勤や相続で空き家になっている物件は、この日付を先に確認してください。
また、所有期間が10年を超えると税率が軽減される制度もあります。所有期間の判定は「売った年の1月1日時点」で行うため、年末をまたぐかどうかで扱いが変わることがあります。数か月の違いで税額が変わる場合があるので、売り出す前に一度確認する価値があります。
適用要件は細かく、併用できない特例もあります。金額が大きく動く部分なので、売り出す前に税務署か税理士に確認してください。
2. 建物の節目——買主のローンに影響する
建物には、買主側の資金調達に影響する節目があります。
- 昭和56年6月1日——建築確認の日付がこれ以前だと旧耐震。買主が使える住宅ローン控除や特例に制約が出ることがあります
- 平成12年(2000年)——木造の耐力壁・金物の規定が明確化された節目
- 築20年・築25年前後——設備の寿命が重なる時期。給湯器、配管、屋根の防水。「まだ使えるが、そろそろ」の状態は、買主から見ると不安要素になります
設備が一斉に寿命を迎える前に売る——これは現実的な考え方です。交換してから売っても費用は価格に乗りませんが、壊れた状態で売ると値引き材料になります。
3. 住宅ローンの残債
売却価格がローン残高を下回る(オーバーローン)場合、差額を自己資金で埋めなければ抵当権を外せません。まずは残高証明書で正確な残債を確認し、査定額と並べてください。
差額が埋まらない場合でも、買い替えローンや任意売却といった選択肢があります。ただし条件が厳しいので、早い段階で金融機関に相談したほうが選択肢が残ります。
4. 市況——ただし読もうとしない
「もう少し上がるかもしれない」と待って、結果として設備が古くなり、築年数も進み、逆に条件が悪くなる。これが最も多いパターンです。
市況を見るなら、近隣の成約事例(売り出し価格ではなく実際に売れた価格)と、売り出しから成約までの日数を不動産会社に出してもらってください。この2つが、いま動いているかどうかの実データです。
札幌で売る場合の季節性
札幌の中古住宅市場は、季節の影響が本州より強く出ます。
| 時期 | 市場の状況 | 売主の動き |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 雪で外構・駐車場・庭が見えない | 準備期間。写真を撮り直せない |
| 4〜6月 | 雪解け後。転勤・進学需要と重なり最も動く | ここに間に合わせる |
| 7〜9月 | 安定して動く | 次の狙い目 |
| 10〜11月 | 降雪前の駆け込み | 年内引渡しを狙う層 |
| 12月 | 動きが鈍る | 年明けに向けた準備 |
春に売り出したいなら、冬のうちに準備を終えておく。査定、媒介契約、片付け、クリーニングの手配。雪が解けたらすぐ写真を撮って公開できる状態にしておくのが理想です。
やむを得ず冬に売る場合は、内見前に暖房を入れて部屋を暖めておいてください。寒冷地の買主は玄関を入った瞬間の体感で断熱性能を判断します。あわせて玄関前と駐車スペースの除雪を維持してください。放置されていると「管理されていない家」に見えます。
住みながら売るか、空き家にしてから売るか
| 住みながら | 空き家にしてから | |
|---|---|---|
| 内見の調整 | 手間がかかる | 楽。鍵預かりで対応できる |
| 見え方 | 生活感が出るが、暖かさを見せられる | 広く見えるが暮らしのイメージが湧きにくい |
| 費用 | 追加負担なし | 仮住まいの費用が発生 |
| 資金 | 売却代金を次の購入に充てやすい | 買い先行だと二重の負担期間が出る |
| 税制 | — | 3年の期限が動き出す |
空き家にしてから売る場合、住まなくなった日から特別控除の3年カウントが始まります。ここを意識しないまま時間が経ってしまうケースがあるので、引っ越す前に売却の見通しを立てておいてください。
売り出す前にやること(順番)
- 残債を確認する——残高証明書で正確な数字を押さえる
- 複数社に査定を依頼する——成約事例と成約日数の根拠を出してもらう
- 税制の期限を確認する——特に引っ越し済みの場合
- 不具合を洗い出す——物件状況報告書に正直に書く前提で整理する
- クリーニングと片付けに予算を回す——リフォームより効果が確実
- 媒介契約の種類を選ぶ——専任・専属専任・一般。報告義務とレインズ登録の扱いが違います
リフォームを検討するのは、査定を取ったあとです。順番を逆にすると、回収できない工事にお金を使うことになります。
よくある質問
Q:築年数と市況の関係が売却価格にどのような影響を与えるか
A:売却価格に大きな影響を与えることがあります。特に、築年数が古いと、耐寒性の低い建物に対する需要が減ることがあります。一方、築年数が新しいと、耐震性や断熱性が向上しており、需要が高まることがあります。
Q:売却手続きを開始する前に、どのような準備が必要か
A:売却手続きを開始する前に、物件の評価や売却価格の決定が必要です。また、売却広告の作成や見学会の実施も必要です。
Q:不動産会社に依頼する前に、どのような点を確認するべきか
A:不動産会社に依頼する前に、会社の評価や販売実績を確認することが重要です。また、仲介手数料や登録免許税などの費用も確認する必要があります。
売り時の判断で、私が現場で重視していること
築15年の戸建てを、もう少し高く売れる時期まで待つべきかとご相談を受けたことがあります。ちょうど給湯器や屋根のメンテナンス時期が重なっていたため、そのままの状態で早めに売りに出すことをお勧めしました。結果的に、リノベーション素材として探していた若いご夫婦にスムーズにご購入いただき、余計な修繕費をかけずに済んだと大変喜ばれました。
築年数が古い家で、実際につまずきやすいところ
古い家の売却で手が止まるのは、価格そのものよりも次の3点です。
- 境界が確定していない——確定測量が必要になると、費用と数週間から数か月の時間が加わります。引き渡し条件の交渉材料にもなります
- 建物の不具合をどこまで告げるか——雨漏り、シロアリ、給排水の詰まりなどは、知っていて伝えなかった場合に契約不適合責任を問われます。先に開示して価格に織り込むほうが、後の紛争より安く済みます
- 残置物の処分——家財を残したまま引き渡せる契約は少なく、処分費は売主負担が原則です。荷量が多いと数十万円になります
まとめ
持ち家の売却は、築年数や市況の関係を理解することが重要です。また、売却手続きを開始する前に、物件の評価や売却価格の決定が必要です。
- 築年数と市況の関係を理解する
- 売却手続きを開始する前に、物件の評価や売却価格の決定が必要
- 不動産会社に依頼する前に、会社の評価や販売実績を確認する
物件やリフォームの最終的なご判断は、必ず不動産会社・施工会社に直接ご確認ください。
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