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中古住宅を検討していると、必ず耐震の話が出てきます。ただ、ネット上の情報は用語が混ざっていることが多く、そのまま業者に伝えると話が噛み合いません。まず言葉を整理してから、札幌市の補助制度で順番を間違えると補助が受けられなくなるという一点を押さえてください。ここを外すと取り返しがつきません。
なお診断や工事の費用は、建物の規模・状態・依頼先で大きく変わります。金額の目安を並べても判断材料にならないので、この記事では書きません。必ず見積もりを取ってご自身で確かめてください。
木造の耐震診断は「一般診断法」と「精密診断法」
最初に用語です。木造住宅の耐震診断は、一般財団法人日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づいて行われ、方法は大きく二つに分かれます。
- 一般診断法:原則として構造躯体を壊さずに調べる方法。補強が必要かどうかを判定する段階で使われます
- 精密診断法:補強の設計を前提に、より詳しく調べる方法。仕上げを一部剥がすなど、踏み込んだ調査を伴います
よく見かける「一次診断・二次診断・三次診断」という区分は、鉄筋コンクリート造など木造以外の建物で使われる用語です。木造の戸建てを検討しているのに一次診断・二次診断という言葉で調べていると、まったく別の基準の情報を読むことになります。ここは混ざりやすいので気をつけてください。
判定の分かれ目は「上部構造評点1.0」
診断の結果は、上部構造評点という数値で示されます。1.0が「一応倒壊しない」とされる水準で、これを下回るかどうかがその後の判断を分けます。
この数値は補助制度の要件にも直結します。札幌市の木造住宅の補助では、耐震診断で上部構造評点が1.0未満であることが対象要件の一つになっています。逆に言えば、診断を受けていなければ補助の土俵に乗れません。
もう一つ、建築時期の線引きも覚えておいてください。昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認を受けた建物が、いわゆる新耐震基準です。札幌市の補助が対象としているのは、その前日にあたる昭和56年5月31日以前に建築された住宅です。物件資料の建築年月だけでなく、建築確認の時期を確認する必要があります。
札幌市の補助は「契約・着手の前に申請」が絶対条件
ここが実務でいちばん事故が起きるところです。札幌市の木造住宅耐震改修工事等の補助では、耐震設計に契約し着手する前に申請しなければなりません。業者と話が進み、契約してから「補助が使えるはずだ」と気づいても、そこからでは遅いのです。
対象となる住宅の主な要件は次のとおりです。
- 札幌市内にあること
- 昭和56年5月31日以前に建築されたもの
- 在来軸組構法であること
- 地上3階以下で、木造部分が2階以下であること
- 延べ面積の2分の1以上が住宅用途であること
- 耐震診断で上部構造評点が1.0未満であること
- この事業による補助を過去に受けていないこと
- 建築基準法関係規定に適合していること
補助には、評点1.0以上まで一度に引き上げる耐震改修と、二段階に分けて進める段階改修があり、区分ごとに補助限度額が定められています。金額と受付期間は年度ごとに更新されるため、必ず札幌市のページで最新の要綱を確認してください。受付期間には締切があり、予算の消化状況にも左右されます。
札幌市には木造住宅の耐震診断員を派遣する制度もあります。まず市の窓口に相談してから業者を探す、という順番にすると、補助の要件から外れる失敗を避けられます。
中古を買う前に、自分で確認できること
診断を頼む前でも、資料と現地で分かることがあります。
- 建築確認の時期。昭和56年6月1日を境に、適用された基準が違います
- 増築や改築の履歴。あとから壁を抜いている、増築部分の接合が甘い、といった例は珍しくありません
- 基礎の状態。鉄筋が入っていない無筋コンクリートの基礎は、旧い建物で見られます
- 建物の形。1階に大きな開口や車庫があって上階を支える壁が少ない形は、弱点になりやすい
- 雪の重さ。北海道では積雪の荷重が耐震の計算に効きます。本州向けの一般論をそのまま当てはめられません
5番目は札幌で特に重要です。屋根に雪が載った状態を前提に見る必要があるため、道外の情報だけで判断しないでください。
診断を頼む前に決めておく三つのこと
1. 何のための診断かをはっきりさせる
「買ってよいか判断したい」のか「補助を使って補強するところまで行く」のかで、必要な診断の深さが変わります。前者なら一般診断法で足りることが多く、後者なら補強設計につながる調査が要ります。目的を先に業者へ伝えてください。
2. 誰が診断するかを確認する
建築士の資格の有無、講習の修了状況、その自治体の制度に対応した実績があるかを確認します。補助を使う場合は、自治体が求める要件を満たす技術者でなければ申請そのものが通りません。
3. 報告書に何が含まれるかを先に聞く
評点だけが書かれた紙一枚なのか、劣化状況の写真と補強の方向性まで含むのかで、その後の使い道が変わります。補助の申請や補強設計に使える形式かを、依頼前に確認してください。
よくある質問
新耐震基準の家なら、診断は要りませんか
不要とは言い切れません。新耐震基準は建築時点の基準であり、その後の劣化や不適切な増改築までは担保しません。とくに2000年より前の木造では、接合部の仕様や基礎の規定が現在と異なります。築年数だけで安心しないでください。
診断で評点が低く出たら、買うのをやめるべきですか
そうとは限りません。評点が低いことと、補強できないことは別です。むしろ補強の余地がある物件なら、価格交渉の材料になり、補助制度も使えます。判断すべきは補強にいくらかかり、それを含めた総額で納得できるかです。診断はその材料を得るための手順です。
診断と補強を同じ業者に頼んでも大丈夫ですか
制度上は可能ですが、診断する側と工事する側が同じだと、補強の必要性が過大に見積もられないかという懸念は残ります。気になるなら診断だけ別に依頼する、あるいは補強の見積もりを複数社から取ることで確かめられます。
まとめ
中古住宅の耐震で押さえるところは、次の五つです。
- 木造の診断は「一般診断法」と「精密診断法」。一次・二次はRC造などの用語
- 判定の分かれ目は上部構造評点1.0。補助の要件にも直結する
- 昭和56年6月1日が新耐震基準の境目。札幌市の補助はその前日以前が対象
- 札幌市の補助は、耐震設計に契約・着手する前に申請する
- 北海道では積雪の荷重が効く。本州向けの一般論を当てはめない
補助の金額や受付期間は年度で変わります。検討を始めたら、業者を探すより先に札幌市の耐震のページと窓口に当たってください。順番を守るだけで、使えるはずの制度を逃さずに済みます。
建物の状態をひととおり見てもらいたい段階なら、住宅診断のサービスを使う手もあります。
シロアリの被害は床下で進むため、気づいたときには柱まで傷んでいることがあります。まず現状を見てもらうだけでも判断材料になります。
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