中古住宅の内見チェックリスト|プロが必ず見る場所と判断の基準

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中古住宅の内見は、たいてい30分から1時間しかありません。その短い時間で「買ってよい物件か」を見分けるには、見る場所と判断の基準をあらかじめ決めておくことが何より効きます。行き当たりばったりに部屋を眺めても、日当たりと間取りの印象しか残りません。

ここでは宅建士として現地に立ち会う際に必ず確認している場所を、判断の基準とセットで整理します。専門的な調査はホームインスペクションに任せるとして、その前段で「これは見送ったほうがよい」と気づくための内容です。

内見の前に決めておく2つのこと

持ち物は4つでいい

  • スマートフォンのライト:床下点検口、洗面台の下、押入れの奥を照らす
  • ビー玉かスマホの水平器アプリ:床の傾きを見る
  • メジャー:家具が入るかの確認と、ひび割れの幅を測る
  • 間取り図のコピー:気になった箇所を書き込む

スリッパは用意されていることが多いのですが、靴下で床の感触を確かめたい場面があります。たわみやきしみは足の裏でしか分かりません。

できれば雨の日か、雪解けの時期に行く

晴天の内見では雨漏りも排水の不具合も表に出ません。札幌であれば、3月から4月の雪解け時期は建物の弱点が最も出やすい季節です。屋根からの融雪水がどこに流れるか、基礎まわりに水が溜まらないか、この時期なら実際に見えます。

外から見る:基礎と外壁

建物に入る前に、必ず外周を一周してください。ここで判断がついてしまうことがあります。

基礎のひび割れは幅0.3mmが目安

基礎の立ち上がり部分に入ったひび割れは、幅0.3mm未満なら乾燥収縮によるもの(ヘアクラック)で、直ちに問題になることは多くありません。一方、0.3mm以上、あるいは斜めに走っている、内部の鉄筋が見えている場合は構造クラックの可能性があり、建築士の判断が必要です。メジャーの目盛りと比べれば、おおよその幅は現地で判断できます。

もうひとつ見てほしいのが補修跡です。過去に埋めた跡があり、その補修材が再び割れている場合、原因が解消されていないことを意味します。これは新しいひび割れより重い所見です。

外壁は「どこに」割れているかで意味が変わる

窓の四隅から斜めに走るひび割れは、建物に力がかかった痕跡であることがあります。一方、外壁材の継ぎ目に沿ったものはシーリングの劣化で、補修で対応できる範囲です。

北海道では凍害も見てください。外壁材が層状に剥がれている、表面がぼろぼろと崩れている場合、水を吸った状態で凍結と融解を繰り返した結果です。日当たりの悪い北面と、雪が積もる地面付近に出やすい症状です。

中に入って最初に見る:建具と床

ドアと窓を全部開け閉めする

地味ですが、これが最も確実な傾きの検査です。

  • 開閉時に引っかかる
  • 手を離すと勝手に開く、または閉まる
  • 閉めたときに枠との間に隙間ができる

これらが複数の部屋で共通して同じ方向に出ている場合、建物全体が傾いている可能性があります。1か所だけなら建具の調整で済むことがほとんどです。

床はビー玉より足の裏

ビー玉を置く方法は有名ですが、実際には歩いたときのたわみときしみのほうが情報量があります。特に廊下と洗面所の境目、浴室の入口付近は、水漏れによる下地の傷みが出やすい場所です。

水回りは見る順番を決めておく

水回りは工事費が最も高くつく部分です。ここで「全部やり直し」となるかどうかで、総額が数百万円変わります。

  1. 洗面台の下の扉を開けてライトを当てる:配管の材質と、水漏れの跡(白い粉状の結晶やサビ)を見る
  2. 蛇口を全開にする:水圧の弱さ、最初に出る水の濁り(赤水)を確認する
  3. 排水を流して匂いを嗅ぐ:下水臭がする場合、排水トラップの不具合か通気の問題
  4. 浴室の天井を見上げる:換気扇まわりのカビ、天井点検口の有無

配管の材質は竣工年からおおよそ推定できます。1980年代までの建物で交換履歴がなければ、給水管の更新を前提に予算を組んでおくのが安全です。

床下と天井裏:点検口があるかどうかが分かれ目

床下点検口と小屋裏点検口があるかどうかは、それ自体が重要な情報です。点検口がない住宅は、これまで内部を確認する機会がなかった可能性が高くなります。

点検口を開けたら、潜る必要はありません。ライトを当てて次の3点を見るだけで十分です。

  • 匂い:カビ臭ければ湿気がこもっています。土の匂いが強い場合、防湿コンクリートが施工されていない可能性があります
  • 木部の色:土台や束が黒く変色している、あるいは白い菌糸のようなものが見える場合は腐朽のサインです
  • 断熱材の垂れ下がり:床下断熱が外れて落ちていることがあります。寒冷地では床の冷たさに直結します

小屋裏では雨漏りの跡を探します。野地板や梁に茶色いシミがあれば、過去または現在の漏水です。乾いていても、修理済みかどうかは売主に確認する必要があります。

札幌・寒冷地で追加して見るところ

窓とサッシ

ガラスが1枚か2枚以上か、サッシがアルミか樹脂かで、冬の体感と暖房費が大きく変わります。窓枠の下に黒い汚れやカビがあれば、結露が常態化していた証拠です。壁の内部にまで水分が回っている可能性があります。

暖房方式と灯油タンク

FF式ストーブ、パネルヒーター、温水セントラルのどれかを確認します。機器の製造年も見てください。暖房機器は15年前後で更新時期を迎えます。灯油タンクの容量と設置場所、給油経路も生活に直結します。

屋根と落雪の行き先

雪止めが付いているか、屋根の形状(無落雪屋根かどうか)、そして落ちた雪がどこに溜まるかを見ます。隣地や玄関前、カーポートの上に落ちる配置は、住み始めてからトラブルになります。

水抜き栓の位置

長期不在時に配管の水を抜く不凍栓がどこにあるか、動くかを確認します。冬季の凍結破損は、階下への漏水事故に直結します。

書類の確認は、内見と同じくらい重要です

現地で分からないことの多くは、書類で分かります。以下は必ず売主または仲介業者に依頼して確認してください。

書類そこから分かること
建築確認済証建築確認申請の日付。ここで適用された耐震基準が決まります
検査済証完了検査を受けているか。無い場合、増築などが違法状態の可能性があります
建物図面・構造図撤去できる壁とできない壁の判断材料になります
増改築・リフォームの履歴水回りや屋根の更新時期。次の出費の予測がつきます
境界確定の資料隣地との境界が確定しているか。未確定は将来の紛争要因です

持ち帰り用チェックリスト

場所見るもの要注意の所見
基礎ひび割れの幅0.3mm以上/斜め/補修跡の再割れ
外壁割れの位置窓の四隅から斜め/凍害による剥離
建具開閉の具合複数箇所で同じ方向に引っかかる
たわみ・きしみ洗面所・浴室の入口付近
洗面下配管の材質と漏水跡鋼管のまま/白い結晶・サビ
床下匂いと木部の色カビ臭/土の匂い/黒変・白い菌糸
小屋裏雨漏り跡野地板・梁の茶色いシミ
ガラス枚数・枠の汚れ単板ガラス/枠下の黒カビ
屋根雪止めと落雪先隣地・玄関前・カーポートに落ちる
書類確認済証・検査済証検査済証がない

よくある質問

Q. 内見は何回行けばよいですか

A. 購入を具体的に検討する段階では、2回以上をおすすめします。1回目は全体の印象、2回目はこのチェックリストを持って細部を見る、と目的を分けると効率的です。可能であれば時間帯や天候を変えてください。

Q. 気になる点が見つかったら、その場で指摘すべきですか

A. その場で売主を問い詰める必要はありません。写真を撮り、後から書面で確認を依頼するほうが記録に残ります。所見は価格交渉の材料にもなります。

Q. リフォーム済みの物件なら安心ですか

A. 内装が新しくても、基礎・床下・配管といった隠れる部分は工事の対象外になっていることがあります。むしろ表面が綺麗な物件ほど、点検口から中を見る意味が大きくなります。

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まとめ

内見で見るべき場所は、突き詰めるとお金がかかる順に「基礎・傾き・水回り・屋根」の4つです。ここに問題がなければ、内装の古さは予算次第でどうにでもなります。逆にこの4つのどれかが重いと、購入後の総額が想定を大きく超えます。

そして書類の確認を省かないでください。建築確認済証の日付ひとつで、その建物がどの耐震基準で建てられたかが決まります。現地で数十分眺めるより、書類の1行のほうが判断を左右することがあります。

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