再建築不可物件とは、今建っている建物を解体すると、同じ敷地に新しい建物を建てられない土地のことです。原因のほとんどは、建築基準法43条が定める接道義務を満たしていないことにあります。
接道義務とは、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない、というルールです。これを満たさない敷地では建築確認が下りないため、建て替えができません。具体的には次のようなケースが該当します。
- 道路にまったく接していない(袋地)
- 接してはいるが、接する幅が2m未満である
- 前面の通路が建築基準法上の「道路」に該当しない(私道・通路の扱い)
- 幅員4m未満の道路(2項道路)に接しており、セットバック後に2mの接道を確保できない
なお、周囲に広い空地があるなど一定の条件を満たす場合は、建築基準法43条2項の認定・許可(2018年の改正前は「43条但し書き」と呼ばれていた制度)によって建築が認められることがあります。認定・許可の基準は特定行政庁ごとに異なるため、購入を検討する段階で必ず窓口に確認してください。
ここでは、再建築不可物件を検討するときに押さえておきたい費用の考え方と、判断の基準を宅建士の視点で整理します。
再建築不可物件の費用相場
再建築不可物件の購入費用や維持管理費用は、通常の物件と比べて異なります。例えば、建物の老朽化が進んでいる場合、将来的に大規模な修繕や交換が必要になる可能性があります。以下は、再建築不可物件関連の費用目安の例です。
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 購入費用 | 一般的な目安で1000〜5000万円 | 物件の状態や立地によって大きく変化 |
| 維持管理費用 | 年間10〜50万円 | 建物の老朽化や環境条件によって変化 |
| リフォーム費用 | 50〜500万円 | リフォームの内容や物件の状態によって変化 |
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再建築不可物件の手順・進め方
再建築不可物件の購入には、以下のような手順や進め方を意識することが重要です。
- 物件の状態や立地の調査を行う
- 専門家の意見を聞き、将来的に必要な費用や工事を予測する
- 購入後の維持管理計画を立てる
- リフォームや修繕の際には、許可や届け出が必要な場合があるため、事前に確認する
失敗しないためのコツ
実際の現場では、再建築不可物件の購入に際しては、将来的に必要になる費用や工事を十分に予測し、維持管理計画を立てることが重要です。札幌のような寒冷地では、建物の老朽化が進みやすく、特に維持管理に注意が必要です。また、専門家の意見を聞き、物件の状態や立地の調査を行うことで、将来的に起こり得るリスクを最小限に抑えることができます。
「リフォームならできる」は2025年4月から条件が変わりました
再建築不可物件は「建て替えはできないがリフォームはできる」と説明されることが多いのですが、2025年4月施行の改正建築基準法によって、この前提が一部変わっています。
これまで木造2階建て以下の小規模住宅(いわゆる4号建築物)は、大規模の修繕・模様替えでも建築確認が不要でした。改正後は、木造で階数2以上または延べ面積200平方メートル超の建物が「新2号建築物」に区分され、大規模の修繕・模様替えにも建築確認申請が必要になりました。ここでいう大規模の修繕・模様替えとは、壁・柱・床・梁・屋根・階段といった主要構造部のいずれか一種以上について、その過半を対象とする工事を指します。
再建築不可物件では建築確認が下りないため、スケルトンリノベーションのように構造をいったん露わにする工事は、木造2階建てでも実施できなくなる可能性があります。平屋かつ延べ面積200平方メートル以下の「新3号建築物」であれば従来どおり確認申請は原則不要ですが、購入前に建物の階数・延べ面積と、想定する工事の範囲を建築士に確認しておく必要があります。
買ってよいケースと、避けたほうがよいケース
検討してよいケース
- 隣地を将来買い足す、または隣地所有者と交渉して接道を確保できる見込みがある
- 43条2項の認定・許可が現実的に取得できると、行政の窓口で確認できた
- 建物の主要構造部が健全で、内装と設備の更新だけで十分に住める
- 現金で購入でき、住宅ローンを前提としない
避けたほうがよいケース
- 建物の傷みが進んでおり、構造補強を含む大規模工事が前提になっている
- 出口(売却)の見通しがなく、いずれ手放す可能性がある
- 建て替え不可を承知のうえで、価格の安さだけを理由に検討している
再建築不可物件は住宅ローンの担保評価が付きにくく、金融機関によっては融資の対象外となります。価格が周辺相場より安いのは、この流動性の低さが織り込まれているためです。「安い理由」が自分にとって許容できるものかどうかが、購入判断の軸になります。
札幌で検討する場合の注意点
積雪寒冷地では、通路が狭い敷地ほど除雪の負担が重くなります。接道が2m前後の敷地は、排雪を業者に依頼する前提で年間の維持費を見積もってください。
また、空き家として放置すると凍結による給排水管の破損が起こりやすく、冬季の管理体制を決めないまま取得するのは避けたほうが安全です。遠方にお住まいの方が相続で取得したケースでは、冬期の見回りを誰が行うかを先に決めておくと、余計な修繕費を抱え込まずに済みます。
実務で見た再建築不可物件の現実
札幌市西区の閑静な住宅街で、周辺相場の半額近い700万円で売り出されていた築45年の戸建てをご相談いただいたことがあります。現地を確認すると、道路の幅員は4mあるものの、敷地が接している幅(接道)が1.6mしかなく、建築基準法43条の「2m以上」を満たしていない再建築不可物件でした。
お客様はリノベーション前提での購入を検討されていましたが、大手都市銀行・地方銀行ともに担保評価がつかず、住宅ローンの審査は通りませんでした。最終的に金利が高めのノンバンクローンか現金購入という選択肢になり、将来の再販売リスクと担保価値も考慮した結果、購入は見送る判断となりました。価格が安い理由は、この出口の狭さそのものです。
よくある質問
Q: 再建築不可物件はどのような場合に購入するのがよいですか?
A: 再建築不可物件は、通常の物件よりも安価で購入できる場合があります。ただし、将来的に必要になる費用や工事を予測し、維持管理計画を立てることが重要です。初めて物件を購入する場合や、将来的に建て替えや大規模なリノベーションを行わない場合には、再建築不可物件の購入を検討することができます。
Q: 再建築不可物件の維持管理費用はどのくらいですか?
A: 再建築不可物件の維持管理費用は、建物の老朽化や環境条件によって変化します。一般的な目安で年間10〜50万円ですが、実際の費用は物件の状態や立地によって大きく変化することがあります。
Q: 再建築不可物件のリフォームは可能ですか?
A: 再建築不可物件のリフォームは可能ですが、許可や届け出が必要な場合があります。事前に専門家の意見を聞き、必要な手続きを行う必要があります。また、リフォームの際には、建物の老朽化や環境条件を十分に考慮する必要があります。
まとめ
再建築不可物件の購入には、通常の物件購入よりも多くの注意点があります。将来的に必要になる費用や工事を予測し、維持管理計画を立てることが重要です。以下は、再建築不可物件の購入を検討する際に考慮するべき点のまとめです。
- 物件の状態や立地の調査を行う
- 購入後の維持管理計画を立てる
物件やリフォームの最終的なご判断は、必ず不動産会社・施工会社に直接ご確認ください。
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