【2026年7月第5週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|大丸デパ地下再編と建設・不動産の倒産

【2026年7月第5週】札幌の新店・閉店・再開発まとめ|大丸デパ地下再編と建設・不動産の倒産中古住宅・マンション購入

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札幌の街は毎週動いています。新しい店ができ、長く続いた店が閉まり、その裏では再開発と分譲マンションの計画が静かに進んでいる。この連載では、店舗デザインの現場と宅建士の実務、両方の視点から「札幌の街でいま何が起きているか」を毎週まとめています。

単なる開店・閉店リストではありません。その動きが不動産にとって何を意味するかまで踏み込みます。今回は2026年7月24日〜8月1日の動きを追いました。デパ地下の再編、狸小路近くの路面商業のテナント入れ替え、そして道内の建設・不動産業の倒産まで、床が動いているサインが今週もいくつも出ています。

私自身、内装工事の見積りと物件の重要事項説明を同じ週にこなすような働き方をしています。だからこそ「どんな設備を持つ区画が、いまいくらで、どんな業態に回っているか」という視点で街を見ています。今週もそこから読み解いていきます。

今週の3行まとめ

  • 大丸札幌店でベーカリー「BOUL’ANGE」が地下1階に開店する一方、雑貨の「コトモノマルシェ」が3階から移転閉店。デパ地下=食物販強化の再編がはっきり見えた
  • 南2条西3丁目の「札幌ZERO GATE」にリーバイスストアとCan★Doが同日(7/31)開店。狸小路〜大通の路面〜低層商業でまとまった床が動いた
  • 道内の建設・不動産で倒産が続く。建売分譲の札証物産(民事再生・負債約61億円)建設・除排雪の(有)大東(破産開始決定)。いずれも資材高騰・人手不足・金利上昇というマクロ要因と地続きだ

新店オープン情報(2026年7月28日〜8月1日)

今回の期間で確認できた新規開店・移転開店は以下の通りです(近日中の開店・閉店情報/札幌速報の一覧に基づく)。

日付業種店名所在地
7/28焼肉炭火焼肉くろひめ 屯田店北区屯田6条3丁目8-4
7/29ラーメンザ・ニューシマヤ中央区南6条西4丁目5-27 ホワイトビル1階
7/30パンBOUL’ANGE 大丸札幌店中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店 地下1階
7/31麻辣湯赤坂麻辣湯 札幌店東区北12条東7丁目1-15 セレスタ札幌1階
7/31デニムリーバイスストア 札幌ZERO GATE中央区南2条西3丁目15-1 札幌ZERO GATE
7/31100円ショップCan★Do 札幌大通店中央区南2条西3丁目15-1 札幌ZERO GATE 2階
7/31靴屋ABC-MART シーナシーナ琴似店西区琴似2条1丁目4-1 CiiNA CiiNA 琴似2階
7/31ゴルフスクールステップゴルフプラス 札幌菊水店白石区菊水3条5丁目2-25 TSUTAYA札幌菊水店1階
8/1居酒屋炭火×焼き鳥 個室居酒屋 炭ス。 すすきの店中央区南4条西3丁目9 2Mビル7階
8/1イタリアンTaverna incrocio中央区南5条西3丁目3-4 プレシャス6ビル3階
8/1図書館こども本の森 札幌・北大北区北8条西6丁目 北海道大学 構内
8/1居酒屋湯けむり酒場 八朔南区藤野2条5丁目1-14 ドリームハウス1階

店舗デザイナーの視点:今週のリストから読めること

3つ、気づいた点があります。

1つめ。大丸札幌店の「地下強化・上階縮小」。7月30日にベーカリー「BOUL’ANGE」が地下1階に開店し、ほぼ同時に雑貨の「コトモノマルシェ」が3階から移転閉店しました。これは偶然ではなく、百貨店のフロア戦略そのものです。デパ地下のベーカリーは製造機能を持つ「重い」区画で、給排水・排気・オーブン用の電源やガス、冷蔵設備まで作り込む必要があります。それでも百貨店が地下の食物販に投資を寄せるのは、来店頻度と回転が段違いだからです。逆に上階の雑貨・手芸は、同じ床面積あたりの売上が読みにくく、館全体で見ると縮小・移転の対象になりやすい。「重い設備区画ほど生き残り、軽い物販ほど動かされる」という百貨店の力学が、今週のリストに素直に表れています。

2つめ。「札幌ZERO GATE」への同日複数出店。南2条西3丁目、狸小路のアーケード口にある札幌ZERO GATEに、リーバイスストアとCan★Doが7月31日にそろって開店します。同一ビルに複数テナントが同じ日に入るのは、館のリニューアルかフロア一括の入れ替えが起きたサインです。まとまった床が一度に空き、まとめて埋まった。狸小路〜大通の路面〜低層商業は、ここ数年でアパレル・雑貨・インバウンド向け物販の主役交代が続いていますが、今回のゼロゲートはその典型例です。物件を貸す側から見れば、「一等地でも用途に合う借り手が来たときにまとめて動く」ことの実例で、空室期間の長短がテナント誘致力に直結することを示しています。

3つめ。カフェ・軽飲食の「インショップ化」。この2週間、カフェは独立した路面店より、スーパーや商業施設の中の区画、あるいは住宅地の小区画に入る傾向が続いています。今週も先週の岩泉Cafe(東光ストア豊平店の館内)やMAIKO COFFEE(もみじ台の住宅地)に続く流れが見えます。カフェは焼肉やジンギスカンと違って排煙・大容量給排水の負担が軽く、換気と最小限の水回りが確保できれば事務所区画やスーパーの一角でも成立します。この「設備の軽さ=出店自由度の高さ」が、独立路面より運営リスクの低いインショップ・住宅近接立地を選ばせているのだと見ています。一方で、閉店側に出た「伏見温泉」(銭湯)はボイラーと大容量給排水という最も重い設備を抱える業態で、更新負担の重さが廃業判断に影響しやすい。設備の重さは、出店にも撤退にも効いてきます。

閉店情報(2026年7月24日〜8月1日)

日付業種店名所在地
7/24人形吉徳の人形 札幌店北区新琴似7条5丁目1-20
7/25食堂チキンハウス515清田区北野7条3丁目5-15
7/25銭湯伏見温泉中央区南17条西17丁目3-24
7/26手芸品パーツクラブ 札幌ポールタウン店中央区南3条西3丁目9-1 さっぽろ地下街ポールタウン内
7/26ラーメン札幌みその 手稲本店手稲区前田6条10丁目2-1 大吉ビル1階
7/27宝飾品Tiffany 札幌三越店中央区南1条西3丁目8 札幌三越1階
7/28手芸品(移転閉店)コトモノマルシェ 大丸札幌店中央区北5条西4丁目7 大丸札幌店3階
7/31コンビニファミリーマート 月寒中央店豊平区月寒中央通8丁目4-1
7/31かに札幌かに源中央区南6条西4丁目1-3
7/31おはぎOh!huggy!! 札幌店中央区南2条西19丁目291-35 アビタ219 1階
7/31ラーメン横濱家系ラーメン かしわ家白石区南郷通14丁目南1-5 ポッシュビル南郷1階

閉店側の傾向として、地下街・百貨店の物販(パーツクラブ ポールタウン店、Tiffany 三越店、コトモノマルシェ大丸店)と南5〜6条西4丁目のすすきの外縁の飲食(札幌かに源など)が目立ちます。前者は前述の百貨店・地下街のフロア再編、後者はすすきのの飲食集積の新陳代謝です。特にTiffanyの三越店撤退は、百貨店が高級ラグジュアリーの直営区画を見直す全国的な流れと連動しており、札幌でも例外ではないことを示しています。閉店は「街の衰退」ではなく、床の使われ方が入れ替わる過程だと捉えるのが実務的です。空いた区画に次に何が入るかで、その通りの賃料水準と客層が決まっていきます。

複合施設・再開発の最新情報

札幌都心では、駅前と大通の二大再開発が並行して進んでいます。どちらも当初計画から規模や工程の見直しが入っており、建設費高騰の影響が計画そのものに反映されている点が今の局面の特徴です。

プロジェクト規模着工竣工予定
北4西3地区(JR札幌駅南口・ヨドバシ)南棟 地上33階/高さ約158.57m2025年3月2028年7月
大通西4南地区(SAPPORO ONE)地上34階・地下3階/延床面積約99,400㎡2025年10月2029年8月

北4西3地区:計画縮小のまま工事進行中

JR札幌駅南口のヨドバシによる再開発「北4西3地区」は、2025年3月に新築工事へ着手しています。注目したいのは、当初の「地上35階・高さ約200m」から、南棟は地上33階・高さ約158.57mへ規模を縮小して着工した点です。高さ200m級のランドマークを目指していた計画が現実的な規模に修正された背景には、建設費と資材価格の高騰があります。竣工予定は2028年7月。駅前の顔になる建物だけに、完成時の商業・オフィス床の供給が周辺の賃料相場に与える影響は大きく、注視していきます。

大通西4南地区(SAPPORO ONE):2029年夏の完成へ

大通西4南地区、いわゆる「SAPPORO ONE」は2025年10月に新築工事へ着手しました。地上34階・地下3階、延床面積約99,400㎡という都心最大級の複合施設で、竣工予定は2029年8月です。大通公園の目の前という立地は、完成後の人の流れを大きく変える可能性があります。都心の商業・宿泊需要がこの一角に集まれば、周辺の路面店・オフィスのテナント構成にも波及します。

ベーカリーの店内イメージ
Photo by Kenneth Surillo on Pexels

新築マンション計画・分譲地の動き

供給面では、札幌の新築分譲マンションが歴史的な低水準にあります。数字で見ると状況が明確です。

項目数値備考
2025年 札幌市内 新築分譲マンション供給843戸1988年の統計開始以来はじめて1,000戸割れ(住宅流通研究所)
2026年以降 完成予定17物件・1,138戸北海道建設新聞(e-kensin)調べ

供給が絞られている理由は、後述する倒産の要因とまったく同じです。建築資材と外注費の高騰、職人の人手不足による工期の長期化、そして住宅ローン金利の上昇。この三つが重なり、デベロッパーは着工に慎重になっています。供給が細れば、立地の良い新築の希少性は上がり、価格は下支えされやすい。買う側から見れば「待てば安くなる」局面ではなく、気に入った物件が出たときに動けるよう資金計画を先に固めておくのが現実的な構えだと考えます。

倒産・新設法人の動向

今週の記事でいちばん実益が大きいのがこの項目です。道内の建設・不動産業で、資材高騰・人手不足・金利上昇を背景とした倒産が続いています。まず統計から押さえます。

項目数値出典
2025年 北海道内 企業倒産件数274件(4年ぶりに減少)東京商工リサーチ
うち 建設業51件東京商工リサーチ
2026年上半期 人手不足倒産(建設業・全国)65件(業種別で最多)帝国データバンク

建設業の倒産状況

北海道の公式統計「道内建設業の倒産状況」は、北海道庁が月次で公表しています(直近は令和8年5月末時点の集計)。全国では2026年上半期の「人手不足倒産」が建設業で最多となっており、道内でも同じ構図が続いています。公共工事から民間工事へ、あるいは規模の大きい案件を抱えた業者ほど、資材と人件費の上昇分を工事代金へ転嫁しきれず採算が悪化する——というのが典型的な破綻の流れです。数字は北海道庁・調査機関の公表値であり、当サイト独自の集計ではありません。

不動産・住宅業界の主な事例(2026年)

会社名所在地・業種手続負債額
札証物産(株)/札証商事(株)中央区ほか・建売分譲/不動産民事再生法の適用を申請(2026年3月23日)2社合計 約61億円
(有)大東中央区南11条西23丁目・建設/除排雪破産手続開始決定(2026年7月8日)小口

札証物産は1965年創業、「impro(イプロ)」ブランドなどで年間100棟以上の戸建分譲を手がけてきた札幌の老舗です。2026年3月23日、関連会社の札証商事とともに札幌地裁へ民事再生法の適用を申請しました。ここは正確に書く必要があります。民事再生法の申請は再建型の手続で、事業の終了を意味しません。実際、札証物産は申請と同日に、東証グロース上場のロゴスホールディングス傘下・豊栄建設(株)とスポンサー契約を締結し、事業譲渡による再建を目指すことが公表されています(負債額は帝国データバンクが約61億円、報道機関によっては約64億円と伝えています)。破綻の要因として調査機関が挙げているのは、2025年4月の建築基準法改正(4号特例の縮小)による建築確認審査の長期化・着工減、駆け込み需要の反動減、住宅ローン金利上昇、資材・外注費の高騰です。これはこの記事全体で繰り返している札幌のマクロ環境そのものであり、分譲マンションの供給減とも同じ根を持っています。

(有)大東は札幌市中央区の建設・除排雪業者で、2026年7月8日に札幌地裁で破産手続開始決定を受けました(破産管財人・遠藤雅文弁護士、事件番号 令和8年(フ)第89号)。小口の案件ですが、除排雪という札幌特有の業務を担う地場業者の破綻であり、冬の地域インフラを支える事業者の経営環境が厳しいことを示しています。

実務的な示唆を一つ。もし住宅の建築や購入を検討していて、契約中・契約予定の施工会社があるなら、住宅完成保証制度や住宅瑕疵担保責任保険(新築住宅の保険付保)の加入状況を、契約前に必ず確認してください。万一、工事の途中で施工会社が破綻しても、これらの制度に入っていれば工事の引き継ぎや前払金の保全、瑕疵の補修が受けられる可能性があります。倒産が続く局面だからこそ、契約書のこの一行を見落とさないことが、いちばん確実な自衛策です。

今週のまとめ:不動産視点でどう読むか

  • 百貨店・地下街は「重い食物販へ、軽い雑貨は縮小へ」。大丸のBOUL’ANGE開店とコトモノマルシェ移転閉店はその象徴。設備を作り込める区画が生き残る
  • 路面〜低層商業はまとまった床が一気に動く。札幌ZERO GATEの同日複数出店のように、一等地でも用途に合う借り手が来たときに一括で入れ替わる。空室期間の管理が誘致力を左右する
  • カフェ・軽飲食はインショップ化。設備が軽い業態ほど出店の自由度が高く、スーパー内や住宅地の小区画に収まる。オフィス空室の受け皿にもなる
  • 新築分譲マンションは供給が歴史的低水準(2025年843戸)。資材高騰・人手不足・金利上昇で着工が絞られ、良い物件の希少性は上がる。買う側は資金計画を先に固める構えが有効
  • 建設・不動産の倒産は「マクロ要因の縮図」。札証物産は民事再生(=再建型・スポンサー付き)、大東は破産と、手続の性質はまったく違う。ひとくくりにせず、施工会社選定では完成保証・瑕疵保険の確認を

よくある質問

民事再生法の適用を申請した会社は、もう倒産して事業が終わったということですか?

いいえ。民事再生法の申請は事業の再建を目的とした手続で、破産(清算型)とは性質が異なります。事業を続けながら債務を整理し、スポンサーの支援や事業譲渡によって再建を目指すケースが多くあります。今回の札証物産も、申請と同日にスポンサー契約を締結し、事業譲渡による再建を目指すことが公表されています。「民事再生=廃業」ではない点に注意してください。

契約中の施工会社が工事の途中で倒産したら、家はどうなりますか?

施工会社が住宅完成保証制度に加入していれば、工事を引き継ぐ会社の手配や、前払金・追加負担分の一部保全が受けられる可能性があります。また新築住宅には住宅瑕疵担保責任保険の付保が義務付けられており、完成後に見つかった構造や雨漏りの瑕疵は保険で補修される仕組みがあります。契約前に、これらの加入状況を書面で確認しておくことが最も確実な備えです。

札幌の新築マンションは、待てば価格が下がりますか?

断定はできませんが、現状は「待てば安くなる」局面とは言いにくいと考えます。供給戸数が2025年に843戸まで縮小し、その背景にある資材高騰・人手不足・金利上昇はすぐには解消しないためです。供給が細れば良い立地の希少性は上がりやすく、価格は下支えされる傾向があります。投資判断はご自身の資金計画と照らして慎重に。これは一般的な情報であり、特定の売買を勧めるものではありません。

次回予告

この連載は毎週水曜に更新しています。次回も札幌の新店・閉店・再開発・倒産の動きを、不動産の視点から追いかけます。札幌でのリフォーム・中古購入を具体的に検討されている方は、アトリノラボの各種比較・解説ページもあわせてご覧ください。

本記事は記事作成時点で確認できた公開情報に基づいています。開店・閉店の日程は店舗の都合で変更される場合があります。再開発・分譲計画の内容や時期も、事業者の判断で変更されることがあります。倒産に関する記載は、帝国データバンク・東京商工リサーチ・報道機関・行政機関が公表した情報に基づくものであり、当サイト独自の調査や評価ではありません。統計値は調査機関の公表値です。個別企業の手続の進行状況はその後変動する場合があり、また民事再生法の適用申請は事業の再建を目的とした手続であって、事業の終了を意味するものではありません。記載内容に誤りがある場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに確認・訂正いたします。掲載写真はイメージです。

参考にした情報源

中古住宅・マンション購入
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